第16章 Murderers
「俺らが"双悪"ってチーム組んでた頃、川崎の"呪華武"ってチームとバチバチの抗争繰り返してたんだけど、チーム同士じゃ全然決着つかなくて、ある日河原で集まって総長同士のタイマンで決着つけようとしたんだ。」
「へぇ…」
「完敗だった。」
「そのあと俺も挑んで返り討ち。」
「アングリー白目剥いてたもんな!」
「スマイリーもね!」
負けたと言いつつもまるで思い出話をするように楽しげに話す二人
さっき負けたばかりの千冬はムスっとした様子で口を開く
「なんで負けた話をそんな楽しそうに話せるんですか?
悔しくないんスか?」
「うーん、俺ら勝てる喧嘩はしないんだ。」
「オマエと一緒だよ。タケミっち。」
俺と一緒…
「見てよ、スマイリー」
「ん?」
「あれ…天竺の!!」
「ちょーどいいとこにいたな…
降りろよ、タケミっち!」
「は、はい」
「ちょっと天竺のアジト聞き込み行ってくるワ!」
「君らここで待っててくれる?」
「了解っス」
「待てやコラァ!」
「え…うわああ!!!」
「…ハハ」
「聞き込み…っていうか…」
「ゴーモンだな、ありゃあ」
多少天竺の2人に同情の気も覚える
…そういえば、千冬にまだ言ってなかったな…
「千冬」
「ん?」
「さっき、稀咲に会ったんだ!」
「え!?」
「今天竺が攻めてきたのはきっとアイツが仕組んだ事だ!」
「は!?…え?ちょっと待て……
なんでアイツが!?」
「わかんねえ…でも…ずっとモヤモヤしてた疑問が…解けた気がする!」
「疑問?」
「ずっと不思議だったんだ…
ドラケンくんを救って場地くんを救っても失敗、ここまでは伊織さんも完全に良くはならないとは言ってた。
だけど…黒龍と稀咲を追い出し、尚且つ伊織さんが留学しなくても失敗。
しかもどの未来も稀咲の思い通りの未来だ…!」
「…」
「千冬、もしもだよ?
もしも俺らが未来を変えた後にさらに未来を改ざんしてる奴がいるとしたら?」
「…え?」
「稀咲もタイムリープしてるとしたら!!?」
俺がそういうと、千冬は言葉を失ったように一歩後ろに下がると頭に手を当てた