第15章 Merry X'mas
「…昨日、ヒナと別れた」
「…」
八戒の肩が少しだけ動いた
…ほらな、お前はいい奴だ
いい奴だし、まだ決断なんかできてねぇ証拠だ
だってこんな完全に他人事の話にもちゃんと耳を傾けちまう
「ヒナを…守るために別れた。
オレはマイキーくんみたく強くないし…死ぬほど弱いし、ドラケンくんみたいな根性もねぇし、伊織さんみたく頭も良くねぇ、どうしようもねぇバカだ。
…こんなオレを好きでいてくれるヒナを守るためならなんだってやる。
でも!殺しはしねぇ!!!」
「っ、」
「どんなに敵を恨んでも!他の道がどんなに苦しくても!!ヒナが悲しむような真似は絶対ェしねぇ!!!
…オイ、八戒…!!
柚葉はそれでいいのかよ!!!
柚葉はテメェが人殺しになっても悲しまねぇんだな!!?」
「タケミっち…」
俺は…!お前を諦めねぇ!!!
絶対絶対、これは間違ってるってわかるから!!
あの未来は絶対ダメだってわかってるから!
ガチャ…
誰だ…?こんな時に…
「天にまします我らの父よ」
「…え?」
「願わくは御名の尊まれんことを…アーメン」
「なんで…稀咲たちは…?」
やられた、のか、、?
いや、、、早すぎる…まさか…
「テメェら…ここで何してんだ!?」
裏切られた、のか…?
─稀咲は敵よ!!
裏切るに決まってる!
伊織さんの声が頭に響く
まさか…本当に…
「ああああああ!!!!」
「っ!八戒!!?」
「大寿っ!!!!」
「待て!!!八戒!!!?」