第4章 浦島虎徹 / 守りたかったもの ★
「ねぇ主さん…。一つ、お願いがあるんだけど、いいかな…?」
部屋についてすぐ、浦島は改まった表情でそう言った。
真剣な眼差しに少しドキドキしながら、しっかりと頷くと…
「あの…、お、俺と…デートして下さい!!!!」
そう言ってガバッとすごい勢いで頭を下げたのだった。
「で…デート…?…ふ、ふふ……っ」
「えっ、あ、あの…主さん……?」
今度は酷く心配そうにこちらを見つめる浦島くんに、堪えきれなくなってしまって。
つい、あはは、と声に出して笑ってしまった。
「えっ、ええっ、主さん!?」
「ふふ…、ごめんなさい、嬉しくって、つい…」
「嬉しい!? ほんと!? もぉぉぉぉ、急に笑い出すからダメなのかと思っちゃったよ~…」
しゅん、とする浦島くんに、可愛いなぁ、なんて思っていたら。
急に腕を引かれて、抱き締められて。
「俺、主さんとの初デート、絶対楽しいって思って貰えるように頑張るからね」
芯のある声。それに抱き締める腕の力強さに、しっかりと”男”を感じてしまって…。
「はい…。楽しみにしていますね」
きっと真っ赤になってしまったであろう、熱の籠った顔を隠すように浦島くんの胸元にその顔を埋めた。
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「ってな訳で、色々と教えて下さい!!」
「いや急過ぎるだろ。色々ってなに」
「どうしたら素敵な彼氏になれるか、とか…。デートってどうしたら楽しんで貰えるか、とか…。何かそういうの、加州さんなら詳しそうだなって思って!!」
「えぇ…。まぁ、いいけどさぁ…」
あの後、俺は素敵なデートとするべく加州さんの所へ直行した。
主の時代の女の子に人気のお店とか、ちょっとした気遣いとか。本当に加州さんは物知りで、どのアドバイスも凄く参考になった。
やっぱり加州さんは凄いなぁ…!!
「…で。主とはどこまでいってんの?」
「どこまで…?」
「もうキスはした感じ?」
「き…、え、えぇっ!!??///」
「あー…、まだな感じなのね…」
主も奥手な感じだもんね~、と言葉を続ける加州さん。
主さんと付き合って3か月くらいなんだけど、も…もしかして、普通はもうキスとかしてるのかな…?
なんて不安に思ってたら。加州さんは笑って俺に軽くデコピンした。