第3章 源清磨 / 映画館へ行こう ★
「映画館…?」
僕はポカンとしながらその単語を復唱した。
映画館。確か、活劇動画を多くの人と観覧する施設だっけ。
目の前の主はとても楽しそうに言葉を続ける。
「あのね、令和の映画館で他の本丸のお話を見る事が出来るんだ♪ そこに清磨くんも出てて…あとね、水心子くんもいるよ」
「そっかぁ。他の本丸の水心子かぁ。それは確かに気になるね」
「…もう、また水心子くんばっかり…」
「ふふ…、じゃあ、次の非番の日に一緒に行くって事でいいのかな?」
「ほんと!?」
「うん。でもその前に、この溜まっている書類を何とかしないとね?」
「う…、が、頑張ります…」
そう言って、主は苦手な書類整理に取り掛かった。いつもよりやる気に溢れている。
余程見に行きたかったのだろうね。可愛いなぁ。
そう思いながら、僕はこっそり端末を手にした。映画館…聞いたことはあるけど、行ってみた事は無い。
どんなところか予習をしておかなきゃ…。
そうするうちに、僕はある事を思い付いてしまったんだ。
***
令和4年9月某日
「ここが映画館かぁ…」
「そっか、清磨くんは初めてなんだね」
物珍しそうにキョロキョロ見渡している清磨くん、可愛いなぁ。
実は、今日は恋刀となってくれた清磨くんとの初デート。
この日の為に、頑張って髪巻いてみたり、いつもより短いスカートにしてみたりしたんだけど…。
…全然何の反応も無いのが、らしいと言えばらしいんだけどね!?(´;ω;`)
い…いいの…。きっと清磨くんは見た目より中身なんだよきっと…。
気を取り直して、映画デートを楽しまなきゃ!!
軽く気合のガッツポーズをした私は、いつの間にかグッズコーナーで水心子くんのグッズを手にしている清磨くんを連れ戻し、チケット発券機に向かった。(水心子くんのグッズはちゃんと買いました)
「清磨くん、席はどの辺りがいいか希望はある? 真ん中の辺りが見やすいと思うけど…」
そう尋ねると清磨くんは、一つ我儘を言ってもいいかな?と少し申し訳なさそうな顔をした。
「我儘…?」
清磨くんが我儘を言うなんて珍しいなぁ…。
そう首を傾げていると、苦笑した清磨くんが言葉を続ける。
「あのね、この映画…良かったら2回見たいんだ。それで、最初は1番後ろの席で見たいんだけど…だめ、かな…?」
