第2章 水心子正秀 / 恋刀1年記念の決意 ★
初めてなのに、結構無理をさせてしまったので。
彼女はふかふかのお布団で、スヤスヤと寝息を立てていた。
夕餉まではまだ少し時間がある。
このまま寝かせてあげよう。
彼女の頭を数回、愛おしく撫でて、その場を離れた。
「…清磨。少しいいだろうか」
『やぁ水心子。僕に電話なんかしてていいのかい?』
「君が送ったというあのヒヨコ。何か細工をしただろう?」
『ん? 何の事だか見当も付かないな♪』
絶対に嘘だ。
何か嫌な予感がすると思っていたが。
絶対に何かあるだろう。
『…水心子?』
「……その。助かった…。一応、感謝、する…」
『ふふ。帰って来たら、また話を聞かせてね』
親友の穏やかな声にあぁ、とだけ答えて、電話を切った。
帰ったら…必ず問い詰めてみせるからな。
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「どうだい? お師匠殿の様子は」
「ふふ。君の発明も、役に立つことがあるんだね」
「おやおや。お師匠殿の親友殿も、中々辛辣だね」
とある部屋で清磨と南海先生が、そんな話をしていたとか。
そしてまた後日。
ヒヨコのカラクリを知った水心子が。
「清磨ぉぉぉ!! 朝尊んんん!!!」
と怒りを露わにした様子で二人を探し回っていたとかいないとか。
fin.