第1章 源清磨 / キミの為だけのアロマ ★
とある会社の、とある食堂で。
私は同僚の女子達と昼食を取っていた。
仕事中でただ一時の至福の時間。
皆でお弁当や社食を食べながら、女子同士でお喋りするのが楽しくて。
そんな時、同僚の中の一人が、「ねぇ見て見て!! 今日ね、清磨様が出てるんだ~♡」とスマホを皆に見せた。
お昼の情報バラエティー番組で、『イケメン過ぎる♡エステティシャン!!』として紹介されている、源清磨。
柔和な笑顔で、お店の紹介やメニューの紹介をしているところだった。
「はぁ~♡ 今日も超イケメン…♡」
「わかる!! 行ってみたいよね~!!」
「あんなイケメンにエステなんてされたらドキドキし過ぎて死んじゃう♡」
同僚達が目をハートにしながら、うっとりと話している。
ね!?そう思うよね!?と話を振られ、あはは…と曖昧な笑顔を浮かべた。
実は、源清磨とは幼馴染なんです。…なんて。
言えない…この空気、絶対言えない!!
しかも、今日………
「そういえば、今日っての誕生日だよね!?」
「あ、そうじゃん!! ねぇねぇ、今日どっかお祝いにご飯食べて行こうよ~♪」
「あー、ごめん!! 今日は予定があって…」
そう言うと、彼女たちの目は豹変する。
ギラリ、と鋭さを増す彼女たちの目。
「もしかして、彼氏~??」
ニヤニヤと、全員がこっちを見る。
女子あるあるである。
「もー。違うよぉ。今日は家族がケーキ買って待ってるって言ってたから…」
「な~んだ」
「の家って、家族仲良いもんね~♪」
きゃっきゃっとまた場が盛り上がる。
良かった…。
いや家族が仲良いのは本当なんだけど、何とか上手く誤魔化せたようだ。
昼食タイムが終わるギリギリにデスクに戻り、チラリと自分のスマホを覗く。
『、お疲れ様。
それから誕生日おめでとう。さえ良かったら、日頃頑張ってるに、僕がエステで癒してあげたいなって思ってるんだけど、どうかな?
勿論、誕生日なんだから無料だよ。良かったら、お店が閉店する21時頃、お店まで来て欲しいな』
LINE画面。
清磨からのメッセージに顔が綻ぶ。
最近、清磨が忙しくて全然会えて無かったから、余計に嬉しくて。
行く!!とだけ簡潔に送信し、仕事に戻った。