第3章 第3章希望の欠片
【千side】
今年も花束が届いた。
差出人がないけど誰かなんて解っていた。
「ユキ、その花束」
「うん、今年も届いたよ。すごく豪華なもの」
綺麗な薔薇が毎年のように届く。
コンサートの時にも花束は届くけど、それとは別に一週年記念の際に届く花はとても豪華でありながらも特別な意味が込められていた。
「名前が書いてなくても解るのにね…」
「ユキ」
もうすぐ五周年記念を迎える。
せめて五周年記念を迎える前にどうしても探したい人が二人いる。
もう一人はかつての僕の相棒の万ともう一人は現在のRe:valeの育ての親と言っても過言ではない。
そうだ。
凛太郎は決して僕達の育ての親にはなりえない。
今でも僕はアイツを許していない。
勝手な理由で彼女を遠ざけ、辞めさせたあの男を。
僕とあの男は本当の理由で一生相容れない気がする。
昔ほど嫌ってはいないし、おかりんの兄で事務所の社長と言う事である程度は信用しているけど。
でも、彼女を失った僕がどれだけ苦しんだから解らないだろう。
百だってどれだけ泣いたか。
新Re:valeの道のりは厳しく、特に百は苦労が多かった。
でも、百を支え、自由な音楽を作れるように奔走してくれた彼女には感謝している。
だからこそ、ずっと一緒にいたかった。
僕達は二人のユニットじゃない。
おかりんと彼女聖がいて成り立っていたんだ。
なのに君は消えて居なくなって、お祝いの花束が届くようになった。
僕は花束よりもただ君に一言言って欲しかったよ。
五年前のように――。