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私ただの執事でございます!

第3章 第3章希望の欠片




愛しい記憶に思いを馳せながら、今でも忘れない思い出を抱きしめる。

思い出は宝物だ。
傷ついたときは、それを支えにして生きて行くことができる。


私にとって宝箱になっていた。
千両箱のような物で、他人からすればガラクタが入った物。

でも、私が得た宝はお金では買えないとても大切な物。


「やっぱり、二人は宝物だったよ。誰がなんて言うと」

「楽しそうですね」

「司…」


お茶の用意をする司は曲を聞きながら微笑む。

「彼はちゃんと花を咲かせたようですね」

「まだ咲いたばかりだけど…でも、これから大輪の花を咲かせてくれると信じている」

「マスターが手塩に育てた子達です。当然です」


手塩に育てたか。
期間は本当に短かったけど、それでも彼等と過ごした時間はかけがえのないモノだった。


「もうすぐ五周年ですね」

「もうそんなになるか…」

時が立つのはとても早く感じる。
彼と過ごしたのは昨日んの事のように覚えているし、彼がきっかけだった。

流離のプロデューサーになったのは。


彼等との出会いが私に道を示してくれた。
封印していた音楽を…嫌いになろうとした音楽を嫌いにならずに済んだんだ。


「今年も花束をお送りになるのですね…名無しで」

「その方が良い」

私は自分から彼等の元に姿を見せない。
もう私は彼等のプロデューサーではなくなったのだから、彼等のファンとしてこっそり応援しよう。


そう決めたのだから。


「不器用な方です。聖様は」

「そうかもしれない。上手く立ち回れないかもね」

「ですが、その不器用な優しさに救われたのが私達です。私達は貴女について行きます」

「ありがとう」

今の私はとても幸せだ。
夢を失っても希望を失わずに済んだのだから。


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