第9章 ハロウィーン
「あいつだって誰も友達が居ないってことはとっくに気が付いているだろうさ」
「ロン!」
ミラは非難の声を上げロンを睨み上げた。ロンはそれ以降むっつりと黙り込み、ミラもロンから顔を背けた。機嫌の悪い二人に挟まれたハリーは、居心地悪そうにしながらも、次に教室へ行こうと二人を即足した。
しかし次の授業にハーマイオニーの姿はなく、さらにその日の午後、彼女の姿が一向に現れることはなかった。心配になったミラは、同室のパーバティにハーマイオニーのことを尋ねると、トイレで泣いていて、一人にしてほしいと言うことがわかった。
ミラはハリー、ロンと一緒にハロウィーンのご馳走を食べに大広間へ向かう途中、思い切って二人に彼女の様子を伝えた。
「…部屋で待ってたけど帰って来なかったから、きっとまだトイレにいるはずだ」
ロンは気まずそうに下を向いて、目も合わそうとしなかった。
「ハリー…わたしやっぱり…」
「わかった、君の好きな糖蜜パイと、ハロウィンのご馳走を談話室に持って帰っておくよ」
「さすがハリー!」
ハリーはミラが言いたいことがすぐにわかった。パッと顔色を明るくしたミラは、「多めに持ってきてくれると嬉しい!」と伝えると、来た道を戻って行ってしまった。
その後ろ姿をロンは意味がわからないと言った顔で見ていると、ハリーは苦笑いしながらロンに言った。
「彼女に任せよう、ロン。僕たちはご馳走の用意だ」
・・・・・
大勢の生徒たちがいる廊下を、人にぶつからないようにミラは端っこを歩いた。チラチラとこちらの様子を伺う視線があるものの、みんなご馳走が楽しみなのか、すぐに興味を無くして大広間へ歩いて行った。
「おい」
突然腕を掴まれてミラは驚いて振り返った。そこにはドラコと、その後ろにクラッブととゴイルを後ろに引き連れていた。
「誰かと思えばドラコか」
「どこへ行くんだ?もうすぐ大広間で食事のはずだ」
ミラはパチパチと目を瞬かせ、物珍しい様子でドラコを見た。
「心配してくれたの?」
「だっ!誰がお前の心配なんかっ!」
ドラコはミラの掴んでいた腕を振り払うと、眉間に皺を寄せてこちらを睨んできた。