第9章 ハロウィーン
内心ホッとしたミラは、さっきハリーにやってみせたように杖を振るって見せると、ハーマイオニーはすぐに手首の振りが少しだけ違うことに気が付いた。正しい振り方をハーマイオニーに見せてもらいながら、自分の手首の振りを補正してもらった。
ハーマイオニーの教え方は的確でわかりやすく、ミラはすぐに自分の間違っていた杖の振り方が理解できた。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
ミラはハーマイオニーに言われた通り、杖の振り方に気をつけながら呪文を唱えた。すると、揺れるだけだった羽がフワリ、と机の上から高く浮き上がった。
「やったわ、ミラ!」
「ハーマイオニーのおかげさ!ありがとう」
自分よりも喜んでくれるハーマイオニーの笑顔に、ミラもニコッと応えた。ミラの高く浮き上がった羽を見つけたフリットウィック先生がまた嬉しそうな声をあげ、拍手が教室に響いた。
「オーッ!次はミス・グローヴァーができました!」
ミラはチラッとハリーを見ると、ハリーは「やったね」と口パクで言ったことがわかり、ミラもパチンとウィンクして見せた。しかし、ハリーの隣にいたロンが信じられないと言った顔でこっちを見ていた。
・・・・・
授業が終わると、ハリーの隣を歩いているロンの機嫌が良くないことが見てわかった。
「だから、誰だって彼女には我慢できないっていうんだ」
と、廊下の人混みを押し退けながら、ロンがハリーに言った。
「なのにミラは何事もないみたいに仲良くしてさ」
「わたしがなんだって、ロン?」
ミラは呆れた様にロンの横にひょっこりと並ぶと、ロンはギクっと気まずそうにミラから目を逸らした。
「誰かさんが嫌そうな顔をしてたから代わってあげたのに、随分の言われようだ。慰謝料を請求しよう」
「君だって彼女のこと嫌ってただろ!」
「…まぁ、最初は…でも、」
「ほらみろ!まったく、彼女は悪夢みたいなヤツさ」
誰かがハリーにぶつかり、急いで追い越して行った。
ハーマイオニーだった。
ハリーが顔をチラッと見ると----驚いたことに、泣いていた。
「今の、聴こえたみたい」
「それがどうした?」
と言ったロンも、少し気にしている様子だった。