第9章 ハロウィーン
何が良くないのか、ハリーとミラはその後もやって見せ合ったが、全く進展がなかった。ロンの様子を見てみると、長い腕を風車のように振り回して、「ウィンガディアム・レヴィオーサ!」と、ロンが叫んでいた。
「言い方が間違ってるわ」
ハーマイオニーのとんがった声が聞こえて、ミラとハリーはヒヤヒヤしながら二人を見守った。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ。『ガー』と長く綺麗に言わなくちゃ」
「そんなに良くご存知なら、君がやってみろよ」
ロンは怒鳴ると、ハーマイオニーはガウンの袖を捲くり上げて杖をビューンと振り、呪文を唱えた。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
すると、羽は机を離れ、頭上四フィートくらいの高さの場所に浮き上がった。フリットウィック先生が拍手をして「良く出来ました!」と、叫んだ。
「皆さん、見てください。ミス・グレンジャーがやりました!」
先生に褒められたハーマイオニーは、ポッと頬をピンクに染めた。反対にロンは納得できないと言った顔でブスッと拗ねたような顔をしていて、ミラとハリーはロンがものすごく機嫌が悪いことを悟った。
「あーあ、ロンのやつ後で文句言うな…ハリー、わたしロンと変わってくるから、ロンのこと宥めてやってよ」
「君は…彼女と…あー…その、一緒で平気?」
ハリーは歯切れ悪そうにミラに尋ねると、ミラは「まかせて」と言って、ロンとハーマイオニーの組みへ向かった。
「ロン、ちょっと変わってくれない?ハリーの近くでシューマスが羽を燃やしてて面白いよ」
「本当かい?」
パッとロンは顔をあげ、ここにはいたくないとばかりにさっさとハリーのところへ言ってしまった。その様子にハーマイオニーは呆れたように見ていて、ミラもやれやれとロンを見送った。
「ハーマイオニー、あのさ、さっきのよかったよ」
「あ、ありがとう」
お互い気まずそうにチラチラとお互いを見ると、先に話したのはミラの方だった。
「わたしの羽、ちょっとだけ動いたんだけど飛ばなくて…よかったら教えてくれないかな?」
「! もちろんよ、見せてもらってもいい?」
ハーマイオニーはビックリしたようにミラを見たが、すぐに嬉しそうな顔を見せた。