第9章 ハロウィーン
「君のお兄さんたちさ、ロン。フィルチの猫を昨日風船みたいに膨らませて喜んでいたよ---ミセス・ノリスったら、こーんなに膨らんで最高だったね!」
ミラは昨日の膨らんだミセス・ノリスがいかに大きく膨らんで、短い手足をばたつかせている様子をハリーとロンに見せた。
「僕も誘ってくれてもよかったのに。いっつもあの二人、ぼくのこと誘ってくれないんだ」
ロンは羨ましそうにミラに言った。自分は昨日、たまたま二人が悪戯をしている所に出くわしたのだとロンに伝えたが、ロンはそれでも羨ましそうだった。
・・・・・
そしてハロウィーンの朝、パンプキンパイを焼く美味しそうな匂いが廊下に漂ってきて、皆んなは目を覚ました。
更に嬉しいことに、『呪文学』の授業でフリットウィック先生が、そろそろ物を飛ばす練習をしましょうと言って、先生がネビルのヒキガエルをブンブン飛び廻らせるところをやって見せた。みんなのやる気は一気に上がり、二人一組で組むことになった。ミラはハリーと組むことにした。
ロンは誰と組むのだろうと彼の姿を探していると、なんとハーマイオニーと組むことになってしまっていた。ミラとハリーは顔を見合わせ、二人がより険悪にならないか心配だった。
「さあ、今まで練習してきたしなやかな手首の動かし方を思い出して!ビューンと振って、ヒョイと動かすんですよ。いいですか、ビューン、ヒョイ。」
と、フリットウィック先生はいつものように積み重ねた本の上に立って、キーキー声で言った。
ハリーはビューン、ヒョイと杖を振ってみたが、空中高く浮くはずの羽は机の上に貼り付いたままだった。
「ハリー、もう少し手首をこう降るんじゃないか?やってみてもいい?」
「もちろん」
「おかしなところがあったら教えて---コホン、ウィンガーディアム・レヴィオーサ」
ミラもビューン、ヒョイと杖を振ってみせた。机の上にあった羽はグラグラと少し揺れただけで、空中に高く上がる様子はなかった。
「…上がらないな」
「でもちょっと揺れた!もう少しだ!」
「杖の振り方か、それとも呪文の発音が間違ってるのどっちかだけど」
「うーん…発音は悪くなかったと思うよ」