第9章 ハロウィーン
足の長い双子に引っ張られて、ミラたちはあっという間に談話室についた。はぁはぁと乱れる息を零しつつも、ミラは先程のミセス・ノリスと、カンカンに怒ったフィルチを思い出すと、乱れた息に笑い声が漏れ出した。
「ハァ…ハハ、アハハハハハ!何あれ!最高!!」
「見ろジョージ!お気に召してもらえたみたいだ!」
「なら成功だな、フレッド!」
フレッドとジョージはハイタッチしてお互いを褒め称えた。
「あれは何?どういった仕掛けなの?」
「膨らませる粉を仕掛けてあるんだ」
「もちろん破裂しない量でね」
「三日もすれば治るよ。すぐに解決したい場合なら、大量のオナラを出さないといけないけどな」
「フフッ、見たかったな。あのミセス・ノリスがオナラで空中を進むところ」
「空気の抜けた風船の様にかい?それもいい!」
「いいアイディアだミラ!早速改良しようジョージ!」
「そうだな、フレッド!サンキューミラ!またいい意見を聞かせてくれよな!」
双子は嵐のように男子部屋へ走り去っていった。あっという間の出来事だったが、ミラはウキウキと自室の部屋に上がった。ハリーと過ごす時間が減ったせいで少し不安だったのが、双子のおかげで不安も吹き飛んでいってしまったようだった。
・・・・・
次の日、ハリーとロンの三人で授業に向かっていると、前方から管理人のフィルチが歩いてくるのを見かけた。チラリとフィルチ見ると、明らかに機嫌が悪そうな顔をしており、ぶつぶつと何か、誰かを呪うようなつぶやきが聞こえた。
「見たか、今のフィルチ。とっても機嫌が悪そうだった、何があったんだ?」
フィルチが廊下の角を曲がったのを確認すると、ロンはすかさず口を開いた。
「さぁ…でも関わらない方が良さそうだ」
ハリーは自分たちが標的になるのではと思うと、早く教室に行こうとミラとロンを即たした。ただ一人、ミラはニヤニヤした顔で昨日のことを思い出していた。
「…ミラ、どうして君はそんなに笑っているんだい?」
「フフッ、ごめん、ハリー…実はフィルチの機嫌が悪いのを知っていてね」
「なんで君がそんなこと知ってるんだ?」
ハリーとロンは不思議そうにミラを見た。