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【HP】怪鳥の子

第9章 ハロウィーン


「…はぁ、じゃあ言うけど--あなたがネビルの《思い出し玉》を返してたらこんなことにはならなかったし、決闘とか言い出したくせにフィルチを仕向けてきた人に、なんでわたしが馬鹿正直に話さなくちゃいけないの?」

 ミラはやれやれと言ったように大きなため息をついてみせた。

「---じゃあ、なんであの時助けた?」

 探るような目で、薄いグレーの瞳が真っ直ぐにミラを見つめた。ミラはすぐに手元の作業に集中する振りして、ドラコの視線から逃れた。

「…ただの気まぐれ」

 これ以上答える気はないとミラの様子を見て、ドラコも渋々と自分の作業に戻った。時々様子を伺いにやってくるスネイプ先生は、ミラとドラコがただ黙々と作業をこなしている二人の様子がいつもと違うことに気が付いた。スネイプ先生は眉を顰めるだけで何も言わずにミラとドラコの机から離れていった。


・・・・・


 ハリーがクィディッチの練習に週3回行くようになり、ミラとロンはハリーの宿題を時々手伝うようになった。ミラは変わらず変身術の復習、応用のために時々図書館への通いも欠かさなかったが、ハリーと過ごしていた時間が突然無くなり、少し物足りなさを感じていた時だった。
 ハリーがクィディッチでいない時間をどうしようかと、図書館から談話室に戻る道すがら考え事をしていると、見慣れた赤毛が二つ、コソコソした様子で廊下の曲がり角に隠れて何かを伺っているのを見つけた。

「何をしているの?」
「わっ!フィルチかと思ったけどミラか!ちょうどいいところに来た!こっちこっち!」
「ほら、ここ!」
「え、ちょっと…!」

 ミラは気になって赤毛の双子、フレッドとジョージに声をかけた。二人はニヤニヤしながら、ミラの腕を取って自分たちより前に立たせると、ミラは少し驚きながらも、こっそりと廊下の曲がり角を覗いてみた。

 廊下には、少し先にフィルチの猫がいた。嫌な猫だとミラは思いながら様子を見ていると、ミセス・ノリスが何かをじっと見つめていることに気が付いた。
 それにジッと目を凝らして見ると、毛の生えている何かだった。
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