第9章 ハロウィーン
ロンが次の反論しようとしたその時、フリットウィック先生がドラコの肘のあたりに姿を現わした。
「君たち、言い争いじゃないだろうね?」
「先生、ポッターのところに箒が送られて来たんですよ」
と、ドラコが早速言い付けた。
「いやー、いやー、そうらしいね」
と、フリットウィック先生はハリーに笑い掛けた。
「マクゴナガル先生が、特別措置について話してくれましたよ。それでポッター、箒は何型かね?」
「ニンバス2000です」
と、ドラコのひきつった顔を見ながら、笑いを必死でこらえてハリーは答えた。ミラも笑うのを堪えたが、あまりにもドラコの顔が面白いせいで、肩が震えていた。
「実は、マルフォイのお陰で手に入れることができました」
「ありがとね、ドラコ!」
怒りと困惑を剥き出しにしたドラコの顔を見て、ハリー、ミラ、ロンは笑いを押し殺しながら階段を上がった。
「ふっ、ハハハ!見た、ドラコの顔?」
「最高だったよハリー!」
「だって本当のことだ!」
と、大理石の階段の上まで来たとき、ハリー達は思う存分笑った。やっとドラコに一泡吹かせてやったと、特にハリーとロンは目に涙を浮かべていた。ミラもドラコの怒りと困惑の混じった顔を思い出すと、しばらく笑いには困りそうにないと思った。
・・・・・
ハリーがシーカーに決まった日から、ハーマイオニーは全くハリーたちに関わらなくなった。その怒り用は、女子部屋にいるミラにも話しかけてこないぐらいだ。時々何か話したそうに口を開きかけては、ハッとしてそっぽを向かれる。図書室でたまたま会ったとしても、ハーマイオニーは決して三人には話しかけないように徹底していた。
その上ハリーが箒を手に入れた次の金曜日の魔法薬学は、ドラコの機嫌が優れなかった。予測はしていたが、ハリーがシーカーに選ばれたことを黙っていたせいで、授業中はずっと文句を聞く羽目になった。
「何故教えなかったんだ」
「だって教えちゃダメだって言われてたんだもん」
「僕は今でも君のあの下品な笑みを思い出すと腹立たしんだが?」
可愛らしく反論してみたが、今のドラコには火に油を注ぐ結果になるのだった。