第9章 ハロウィーン
それから一週間ほど後、いつものように三人で朝食を食べていると、フクロウ便の時間になった。そのフクロウの群れの中に、六羽のオオコノハズクが足で長細い包みを掴んで飛んでいるせいで、大広間にいる人々の目を惹きつけた。あの大きな包みは何だろうと思っていると、その包みはハリーの目の前に落とされ、ハリーの食べていたベーコンが飛び跳ねて床に落ちてしまった。
そしてもう一羽別のフクロウが手紙を包みの上に置いて、飛び去ってしまった。ハリーは先に手紙に手をつけて読んでいる横から、ミラも手紙を覗き込んだ。
「…わぉ、ハリー…すごいもの送ってもらったね」
手紙の内容は、包みをここで開けないこと。包みの中はニンバス2000が包まれていること。今夜7時からオリバーという人と練習をするということ。
「さすがマクゴナガル先生だね、ハリー」
「うん!」
喜びが隠しきれないハリーの笑顔に、ミラも頬を緩ませた。ハリーはその手紙をロンにも渡すと、ロンも羨ましそうに唸った。
一時限目の授業が始まる前に、三人だで箒を見ようと急いで大広間を出た。三人はワクワクしながら寮に向かう階段を登っていると、階段の途中でクラッブとゴイルが道を塞ぐように立ち塞がっていた。
「邪魔なんだけど」
ミラは鬱陶しそうに二人を見上げた。二人に気を取られている間に、ドラコがハリーの後ろから包みをひったくって中身を確認するように触った。「箒だ」と、ドラコは妬ましさと苦々しさの入り混じった顔付きで、ハリーに包みを投げ返した。
「今度こそおしまいだな、ポッター。一年生は箒を持っちゃいけないんだ」
「ただの箒なんかじゃないぞ。なんてったって、ニンバス2000だぜ、君は家に何を持ってるって言ってたマルフォイ?コメット260かい?」
ロンは我慢できずに言い返し、ハリーに向かってニヤッと笑い掛けた。
「コメットって見かけは派手だけど、ニンバスとは格が違うよ」
「君に何がわかる、ウィーズリー。柄の半分も買えないくせに。君と兄貴たちとで小枝を一本ずつ集めなきゃいけないんだろう?」
ロンもだが、ドラコの言い返しも中々嫌味が効いていた。ハリーとミラは二人の言い合いに蚊帳の外だったが、喧嘩に発展しないか見守っていた。