第9章 ハロウィーン
そこから会話らしい会話はなかったが、スネイプ先生がちょうどネビルの組みの側を通った時、鍋が小さな爆発を起こした。大方スネイプ先生を怖がったネビルが、間違った材料を入れてしまったのだろう。その匂いを嗅いだネビルが眠ってしまうと、スネイプ先生がまたかと、杖で爆発してしまった薬を一振りで綺麗にした。
「ロングボトムは医務室に連れていかず、授業が終わるまで端で眠らせておけ…こんな簡単なものもできんとは」
あなたがネビルを怖がらせなければ、少しはマシになるだろう…とミラは思ったが、グリフィンドール生が何か意見すれば、スネイプ先生はたちまち減点を言い渡すことが容易に想像でき、止まっていた作業に戻った。
いつものように出来上がった魔法薬をスネイプ先生に提出すれば、ハーマイオニーの組みほどではないが、うまくできた《眠り薬》に、スリザリンは5点をもらった。
・・・・・
「どうしてスリザリンだけ5点もらえるんだ?マルフォイと組んでたのは君なのにさ!」
授業が終わって談話室に戻ると、すぐさまロンが噛み付くように言った。
「ロン、いつものことさ。あの先生、わたしのことなんて見えてないから」
「マルフォイのやつと何を話してたんだ?」
「別に、いつも通り作業の手順とか」
もう1ヶ月は経つというのに、スネイプ先生はミラに点数をあげることはなかった。ドラコと組んでいてもだ。ミラはすでに分かり切っていたことで、今更と言った感じだった。
すっかりスネイプ先生のせいで機嫌が悪いハリーは、口調を強めてミラに質問した。ジッと自分を見つめるエメラルドの瞳が、ドラコを助けてしまったこと、ドラコとの魔法薬学が案外悪くないと思っていることがバレるのではと思った。
「…あと、ハリーが退学になってないことに驚いてから、夜のホグワーツ探検も悪くないって勧めといたよ」
これ以上ハリーに見つめられたくないと、罪悪感が増す前にミラは女子寮の階段を上った。