第8章 真夜中の決闘
ミラが談話室に戻ると、ハリーとロンがソファーに座りながら話し合っているのを見つけて、ミラは空いていたハリーの横に腰掛けた。
「早速今夜の作戦会議?」
「もちろんさ!今夜があいつに痛い目に合わせるチャンスだ!」
ロンは待ちきれないと言った様子で、ハリーに魔法使いの決闘の仕方について、話の続きをした。ミラは話を静かに聞いていたが、一向に進まない話に、コホン、と咳を一つ入れた。
「決闘もいいけど、フィルチの対策は考えてあるの?今日はたまたま、マクゴナガル先生がハリーをシーカーに選んでくれたからよかったけど、今夜また校則を破ることになる。しかも三人」
「君も来るのかい?!」
ロンは驚いて大きな声をあげた。ミラはシーっとロンに声を控えるように睨んだ。
「当たり前じゃん。決闘には手も口も出さないけど、見張りはいるでしょ?」
「君の場合、杖が出そうだけどね」
「…それに、問題はピーブスもだ。見つかったら大騒ぎを起こして、フィルチを呼ぶ。誰かがトロフィー室のドアのところで見張ってないと、不意をつかれる」
ミラはあえてロンを無視した。
「ロン、ミラの言う通りだ。僕たちが決闘に夢中になって、フィルチ達に気が付かなかったら大変だ」
真剣な目で二人を見るミラに、ロンはため息を付いて、ボソリと「十一時半にここを出る」と、言った。
・・・・・
夜の十一時半、ハリー、ミラ、ロンはガウンを来て、誰もいない談話室にこっそりと寝室を抜けてやってきた。まだ暖炉に残っている日が、あたりをうっすらと照らして、三人は顔を合わせると、頷いて肖像画の通路へ向かおうとした。
「ハリー、まさかあなたがこんなことをするとは思わなかったわ…それにミラ、あなたもよ!」
ランプがポッと現れると、姿を表したのはピンクのガウンを着たハーマイオニーだった。これには流石のロンも苛立っていた。ミラもハーマイオニーのお節介さに驚きを隠せなかったし、隣で寝ていると思っていたら、まさか待ち伏せされていたなんて、誰が想像できるだろう。