第55章 暗闇でも見つけて
ハーマイオニーはすでに自分に必要な本を探しに行こうとしていた。自分も変身術の本を探しに行こうとした時だった。
「ミラ、今、ちょっといいかな…?」
ネビルだった。どこか緊張した面持ちで、手をモジモジさせていた。
ネビルもボガートの授業からずっと様子がおかしかった。それはミラの前だけだったが、ミラはそれに気がついていた。何か言いたそうにしているのに、どういいか迷っているようにも見えた。それがミラをイライラさせていた。
「つけてきたの?」
「えっと、そうじゃなくて…あ、でも、話したいから…そうなるのか」
「----はぁ、図書室の前で待ってて。ハーマイオニーに一言言ってくるから」
「うん、わかった」
ミラは仕方ないと思い、ネビルと話すことを決めた。ネビルのことだ、ちゃんと話すまでうじうじしてそうで嫌だと思った。ミラはハーマイオニーに少し離れることを伝えると、図書室の入り口前で待っているネビルと一緒に温室へ向かって歩き出した。
温室の少し裏手は人が来なくて話しやすいと思った。何より、ネビルの様子からしていい話ではないだろうとミラは予感していた。
「で、話って?」
「えっと----」
ネビルは更に手をモジモジさせた。顔色もどこか悪い。ミラは黙って待ったが、ネビルは口を開いたと思ったら閉じてしまったり、話が一向に始まらない。
「ネビル、言いにくいなら…」
「待って!話すから----話さないと、いけないと思って…」
「…」
ネビルはますます顔色が悪くなったように見えた。一体何を話そうと言うのだろうか----ミラ腕を組んで、辛抱強く待つことにした。
「この前のボガートの授業のことだけど----」
ようやく話し始めたネビルの声は掠れていた。ミラは目を細めてネビルを見ると、ネビルは両手を慌てて振った。
「あのスリザリン生のことじゃないよ!ミラが最初に出したボガート----ミラは、あれは----君は、誰かを、呪いたいの?」
反射だった。ネビルが全てを言い切る前に、ミラはネビルの首元を両手で掴み上げ、温室の壁に押し付けていた。