第55章 暗闇でも見つけて
「……」
その沈黙を“肯定”と受け取ったのか、パーシーはほっと息をついた。
「そうか。…よかった。今は厄介事に巻き込まれるべきじゃない。気をつけるんだよ」
そう言って去っていくパーシーを見送りながら、ミラはニヤリと笑った。
突然、二人の後方からスリザリン生たちの痛々しい声が聞こえてきた。
「何、今の叫び声?」
「さぁね。幽霊とぶつかったんじゃない?」
ハーマイオニーはミラの悪戯が成功した顔を見ると、慌てて掴んだ手を見たが、杖は見当たらなかった。
「ミラ、もう片方の手を見せて?」
「おっと、手厳しいな」
「あ、ミラったら」
ミラの左手には杖が握られていた。ハーマイオニーは「もう」と、言って呆れてみせた。
「ちょっと床を綺麗にしただけさ。そう、前に罰則であそこを掃除させられたことがあって、汚れがつい気になってね」
「まぁ、それはそれはご立派なこと」
「少し綺麗にしすぎたかな?」
「パーシーが戻ってくる前に行きましょう」
ハーマイオニーはミラの手を引いて、急いで図書室に向かった。
パーシーとすれ違うことなく図書室に入ると、ハーマイオニーは人気が少ない場所までミラを引っ張った。
「言おうか言わないか迷ったけど、ミラ、どうしてあの人たちがあなたをからかってくるかわかってるの?」
誰にも聞こえないように、ハーマイオニーがこっそりとミラに話しかけた。
「どうしてって----退屈だから?」
「わかってたけど、違うわ。この際はっきり言うけど----」
ハーマイオニーは一度言葉を切り、周りに人がいないかもう一度確認してから、ミラに向き直った。