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【HP】怪鳥の子

第53章 潜む闇


「言い訳はそのくらいに、ハーマイオニー先生?」
「言い訳じゃないわ。ただ、あのときはまだ私も----」
「うんうん、“若かった”ってやつ?」
「もう、ミラ!」

 ハーマイオニーがぷいっと顔を背けたその瞬間、教室の扉がゆっくりと開いた。

「先生が来たみたいだよ」

 ハリーがそう言って扉の方を向いたとき、ルーピン先生が教室に入って来た。

 ルーピン先生は相変わらず見窄らしく見えたが、最初に出会った時よりも顔色もよくなった様に見えた。

「やぁ、みんな。教科書はカバンに戻してもらおうかな。今日は実地練習をすることにしよう。杖だけあればいい」

 みんなは教科書をカバンに仕舞い、準備ができるとルーピン先生は自分についてくるように言うと、教室から出て行った。

「聞いた?杖だけでいいって」
「楽しそうだね、ミラ」
「だって実施訓練なんて、ロックハートのピクシー妖精しかできなかったし」
「あれを実施訓練と呼んでいいか分からないな。杖を奪われることしか習ってない」

 ミラたちはワクワクしながらルーピン先生に着いていった。誰もいない廊下を歩いて行くと、途中でポルターガイストのピーブスが、どこかの教室の鍵穴にチューインガムを詰め込んでいた場面に出くわした。ピーブスはルーピン先生を見かけると、「ルーニー(間抜け)、ルーピー(頭のおかしい)、ルーピン」と、歌いだした。

 ルーピン先生はピーブスにガムを取るように注意したが、もちろんピーブスはそんなことを聞くようなゴーストではない。ルーピン先生は仕方ないと言った様子で、肩越しでみんなの方に振り返って、簡単で役立つ呪文を教えてくれた。

 「ワディワジ!」と、唱えると、鍵穴に詰め込まれたチューインガムが勢いよく飛び出し、ピーブスの左の鼻の穴に見事命中した。
 そしてピーブスは、もんどりうって逆さまに落ちそうになりながらも、反転して悪態をついて急上昇して消えてしまった。

 このことで、冴えないと思っていたルーピン先生のことを、みんなは尊敬の眼差しで見つめる様になった。ミラも期待ができると思い、早く杖を振るいたいと思った。
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