第53章 潜む闇
ルーピン先生に着いて行くと、教員室に辿り着いた。中に入る様言われると、教員室は奥の深い板壁の部屋で、不釣り合いな古い椅子がたくさん置かれていた。
そのガランとした部屋に、スネイプ先生が低い肘掛椅子に座っていて、クラス全員が列をなして入って来る様子を見渡していた。ルーピン先生が最後に入って扉を閉めると、スネイプ先生が立ち上がった。
「ルーピン、開けておいてくれ。私は、できれば見たくないのでね」
スネイプ先生は黒いマントを翻して、大股でみんなの脇を通り過ぎて行った。
「ああ、そうだ、ルーピン」と、スネイプ先生は扉のところで止まって振り返った。
「多分誰も君に忠告していないと思うが、このクラスにはネビル・ロングボトムが居る。この子には、難しい課題を与えないようにとご忠告申し上げておこう。ミス・グレンジャーが、耳元で指図を与えるなら別だがね」
ネビルは顔を真っ赤にさせて俯いてしまった。
「先生は人の悪口を言わないと息が吸えないんですか?」
ミラはスネイプ先生を睨み付けながら言った。
「----そこのグローヴァーも問題児だと伝えておこう、ルーピン。反抗的で手が出るのも早い生徒だ」
スネイプ先生もミラを睨みつけると、ミラも負けじと睨み返した。
ルーピン先生は落ち着いた様子でミラとスネイプ先生の間にやってきて、ミラからスネイプ先生を見えない様にした。
「この授業の最初は、ネビルに助手役をお願いしたいと思っていましてね。それに、ネビルなら、きっと上手くやれるはずです。それに、ミラは私には仲間思いで優しい子に見えますよ。あなたに立ち向かう勇気もある」
これにはミラは驚いた様子でルーピン先生の後ろ姿を凝視した。スネイプ先生は唇を歪めて、そのままバタンと扉を閉めて出ていってしまった。
ルーピン生生は振り返ると、ミラに優しく微笑んで見せた。ミラは困惑した様子でルーピン先生を見た後、顔を逸らした。
「さあ、それじゃ」と、ルーピン先生はミラの態度を気にすることもなく、授業を進めた。