第53章 潜む闇
授業が終わりに近付くと、スネイプ先生が心なしか楽しそうに見えた----様な気がした。実際、スネイプ先生の顔はいつも通り無表情だが、ネビルの作った縮み薬で、ネビルのヒキガエルがどうなるかの実験が余程楽しみと見える。もし縮み薬が完成していなければ、ネビルのヒキガエルは毒で死んでしまう----スネイプ先生は、ネビルにトラウマを受け付けたいのだろうか?と、ミラは縮み薬が完成していることを祈った。
もちろん他のグリフィンドール生も同じで、スリザリン生たちはワクワクした様子で見ていた。
しかし、さすがハーマイオニーが助けたおかげでトレバーは死なずにおたまじゃくしに戻り、ミラたちグリフィンドール生は拍手喝采してネビルを褒めた。もちろん、スネイプ先生は面白くないという顔をして、トレバーに別の薬をかけて元のヒキガエルに戻した。
「グリフィンドール、五点減点。手伝うなと言ったはずだ、ミス・グレンジャー。授業終了」
しっかりバレていた様だが、ネビルのヒキガエルが死ななくてよかったとミラは思った。
***
午後の最後の授業は『闇の魔術に対する防衛術』だった。今日はルーピン先生との初めての授業で、ミラたちが教室に着くと、ルーピン生生はまだ来ていなかった。
「今回こそ、まともな先生だといいな」
ミラは憂鬱そうに言った。
「ルーピン先生はきっと良い先生よ、だって汽車の中でディメンターを追い払ったんですもの」
「ハーマイオニーにそう言われてもなあ…」
「あら、どういう意味?」
ハーマイオニーは眉を顰めると、ミラはニヤっと笑ってみせた。
「去年はロックハートにお熱だったからね。いまいち信用できないなあ」
ハーマイオニーはわずかに赤くなりながらも、すぐに言い返した。
「それは…あのときは、ちゃんと実績があるって思ってたのよ。あの本の内容だって、今思えば多少誇張が入ってたかもしれないけど、でも、情報の整理はされてたし、授業の参考には----」
「はいはい」
ミラは両手を軽く上げて、笑いながら制した。