第53章 潜む闇
次の日の朝、片腕の袖をなくしたローブは直されていた。夜の内に、学校で働いている屋敷しもべ妖精たちが直してくれたようだ。
ミラは鏡の前にくると、ドラコから送られたブラシで髪の毛をとかし、持っていた髪留めで髪の毛を一つにまとめ上げた。髪もだいぶ伸び、最近は結んでいないと顔にかかって鬱陶しいなと思うことが増えた。
そして朝食を食べに四人で大広間に入ろうとすると、マクゴナガル先生がミラを引き止める声が聞こえた。
「ミス・グローヴァー、少しお話があります」
ミラはすぐに昨日のことだと悟った。昨日の夜は、いつマクゴナガル先生が来るかと少し心配していたが、やはり話さなければならないのだとミラは内心焦っていた。
「先に食べてて」
ミラはハリー、ロン、ハーマイオニーたちに告げると、黙ってマクゴナガル先生の後に着いていった。ミラは前を歩くマクゴナガル先生を見たが、後ろ姿だけでは先生が怒っているのかどうかわからなかった。しかし、確実に昨日のことで何か言われるだろうということははっきりわかっていた。
マクゴナガル先生が教員室に入ると、ミラもそのあとに続いた。中には誰もいない。ほかの先生たちはすでに朝食を取りに出たようだった。
マクゴナガル先生がミラのほうを向くと、ミラは思わず背筋を伸ばした。先生の表情はいつもの厳しさに加え、明らかに怒りがにじんでいた。
「何をしたか、自分で分かっているはずですね」
「……はい」
ミラは目を伏せた。
「話はハグリッドから聞きました。ヒッポグリフに襲われたミスター・マルフォイを助けたと。そのとき、力を使ったそうですね」
「……はい」
「その力は使ってはいけないと、何度も言ったはずです。どんな状況であっても」
「じゃあ、目の前で友達が殺されそうになってるのを、黙って見てろって言うんですか!」
ミラは感情を抑えきれず、マクゴナガル先生をまっすぐ見上げた。