第52章 ヒッポグリフ
ハリーはすでにヒッポグリフから降りており、一休みしている様子が伺えた。
「ようやった、ミラ!どうだった?」
「----わかんない----すっごく楽しくて----自由で----速くて----つまり、もう最高って感じ!」
「そうか!」
ミラの頬は赤く、まだ興奮冷めやらぬ様子でハグリッドに説明したかったが、言葉がうまく出てこなかった。それでもハグリッドにはミラが楽しんだことが伝わりハグリッドは嬉しそうに笑っていた。
ミラとハリーの成功に励まされ、他の生徒たちも恐々放牧場に入ってきた。ハグリッドは、一頭ずつヒッポグリフを解き放って、放牧場のあちこちでみんなが慎重にお辞儀をし始めた。ミラはヒッポグリフから降りると、ヒッポグリフの顔の前まで来て体を撫でた。
「ありがとう。すごく楽しかった」
ちゃんと伝わったかはわらないが、ミラは最後にヒッポグリフに頭を下げてから、栗毛色のヒッポグリフで練習しているハーマイオニーとロンを見つけると、少し後ろで様子を見ているハリーを見つけて駆け足で近寄った。
「ハリー!」
「うまくいってよかったね」
「うん。ハグリッドも嬉しそうで本当に嬉しい」
「僕もだ」
二人は嬉しそうに微笑みあっていると、「簡単じゃないか」と、ドラコの勿体ぶるような声が聞こえてきた。
「ポッターにできるんだ、簡単に違いないと思ったよ----お前、全然危険なんかじゃないなぁ?」
ミラはゾワッと体の熱が一気に下がった気がした。
「そうだろう?醜い大きな野獣のくせに?」
その瞬間、ドラコの鋭い悲鳴が放牧場に響いた。ドラコは草の上で身体を丸めて蹲っていた。ミラは出せるだけの全速力でドラコに駆け寄った。バックビークはまだ怒り心頭なのか、まだドラコを襲おうと鋭く睨みつけて前足を上げていた。ミラはとっさに両手をバックビークに向けて、動きを止めようと集中した。