第7章 飛行訓練
ハリーがどんどん上に上がるたびに、ミラの周りにいた女の子達が息を飲み、キャーキャーと騒ぐ中、ロンの歓喜の声も聞こえた。ハーマイオニーもハラハラしながらハリーを見守っていた。
「心配じゃないの?」
「ハリーが?まさか!ハリーはやる時はやる男さ!」
「でも…」
「まぁ見ててよ、ハーマイオニー。いざとなったらわたしが行くから」
ハリーの箒の向きが、的確にドラコに向くのを下で見守っていると、ハーマイオニーの緊張は酷くなるばかりだ。そしてハリーの箒が槍のようにドラコに突進していくと、もう少しで二人はぶつかりそうになりながらも、ドラコは危うくそれを交わした。
「今の見たか!やっちまえハリー!」
ロンは大興奮しながらハリーを応援した。ミラも今まで見てきた友人のハリーの勇姿にワクワクし、拍手を惜しみなく送った。
すると、ドラコが何かを叫びながら、ガラス玉を空中高く放り投げ、稲妻のように地面に戻ってきた。ハリーはそのガラス玉を追いかけて、箒の柄を下に向けた。一直線に急降下し、見るみるスピードを上げて玉と競走していた。
流石のミラも少しヒヤリとした。ガラス玉が落ちていくたびに、ハリーも下へ、それも猛スピードで降りていき、地面と衝突するのではと思うと、自分も箒を掴んで跨った。
ハリーが手を伸ばし、ガラス玉が地面に当たるスレスレで、ハリーはガラス玉を掴み、間一髪で箒の向きを変えて、水平に立て直すと、草の上に着地した。手には《思い出し玉》がしっかりと握りしめ、その手を大きく掲げた。
ミラは地面を蹴ると、箒は真っ直ぐハリーの元へ飛んでいった。ハリーに近くなると、ミラは箒から飛び降りて、そのままの勢いでハリーに抱きついた。ハリーは弾丸のように飛んできたミラを受け止めながら、その場でグルリと一周まわった。
「ハリー!ハリー!すごい!そうでなくっちゃ!!」
ハリーは初めてミラが大興奮しながら自分を褒めるところを見た。ミラに続いて、ロンたちグリフィンドール生たちも駆けつけ、ハリーを褒め称えた。
「ハリー・ポッター!」
誰かの叫ぶ声が聞こえた。みんなは一斉に静かになり、声のする方を向くと、寮監のマグゴナガル先生が走ってきたのだった。ミラの赤かった頬が一瞬で熱が消えてしまった。