第7章 飛行訓練
「あいつの顔を見たか、あの大まぬけの?」
他のスリザリン寮生たちも泣いていたネビルの真似をしたり、囃し立て出した。
「やめてよ、マルフォイ」
パーバティ・パチルがドラコを咎めた。
「まあ、ロングボトムの肩を持つの?パーバティったら、まさかあなたが、チビデブの泣き虫小僧に気があったなんて知らなかったわ」
と、気の強そうなスリザリンの女の子、パンジー・パーキンソンが冷やかしにドラコの横に立った。
「見ろよ!ロングボトムの婆さんが送って来たバカ玉だ」
ドラコは草むらの中から《思い出し玉》を見つけ、それをみんなに見えるように掲げた。
「マルフォイ、こっちへ渡してもらおう」
ハリーが静かに言った。皆んなはお喋りを止めて、二人に注目した。しかし、ドラコはいい標的ができたとばかりにニヤリと笑った。
「それじゃ、ロングボトムが後で取りに来られる所に置いておくよ____そうだな……木の上なんてどうだい?」
「ドラコ」
ミラはサッとハリーの横に並び、手をドラコに向けて出した。ジッと自分を見つめるアメジストの瞳に、ドラコは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに余裕ある顔に戻った。
「口出しなんて珍しいな、グローヴァー」
「痛い目にあう前に返した方がいいってことさ」
「痛い目にね」と、ドラコはハリーを見てせせら笑った。その視線が気に入らなかったハリーはカッとなって「こっちに渡せったら!」と、強い口調で言うと、ドラコは箒に乗って、飛び上がってしまった。
上手に飛べると言っていたのは確かに嘘ではなかった。ドラコは樫の木のこずえと同じ高さまで舞い上がり、そこに浮いたままハリーに呼び掛けた。
「ここまで取りに来いよ、ポッター!」
ハリーは迷いなく箒を掴んだ。
「ダメ!マダム・フーチがおっしゃったでしょう、動いちゃいけないって。私たち皆んなが迷惑するのよ」
と、ハーマイオニーが叫びました。しかし、ハリーは無視して箒に跨り、地面を強く蹴ると、真っ直ぐ上に急上昇した。
「ミラ!あなたからも言って!」
ハーマイオニーはミラに飛びついて言った。
「いいぞハリー!上手だ!」
「ミラ!」
ミラはケラケラ笑いながらハリーの応援をすると、ハーマイオニーは顔を真っ赤にして怒った。