第47章 擬態紙
部屋に着くと、窓辺でくつろいでいたノクチュアがミラに向かって飛んできた。
「ノクチュア!よくやった!」
ミラは腕に止まったノクチュアの頭を撫で回した。ノクチュアは嬉しそうな声をあげてミラの指を甘噛みした。
「それで、今回は何があったんだ?」
褒められてご機嫌のノクチュアを籠に戻すと、ミラはハリーに振り返った。ハリーは苦笑いしながら話し始めた。約一週間前にバーノンのお姉さん、マージが家にやってきたこと。そのマージにハリーが魔法学校に通っていることがバレないように別の学校に通っているフリをすることを、ホグズミード行きの許可証にサインしてもらうことをバーノンと約束していたことが始まりだった。
しかし、マージが宿泊する最終日に、お酒を飲みすぎたマージがハリーの家族を侮辱したせいで、ハリーは怒りを抑えることができず、マージをパンパンに膨れた風船にしてしまったとのことだった。
「当然の報いだ」と、ミラは強く頷いた。
そのあとはカッとなって家を飛び出してしまい、運よくナイトバスで漏れ鍋まで来れたのだった。しかし、漏れ鍋についた時、ハリーを待っていたのは魔法大臣のコーネリウス・ファッジ大臣で、マグルの面前で魔法を使ってしまったことを不問にしてもらったのだと。
これがミラなら、大臣なんて自分の前に現れなかっただろうと思った。ハリーは良くも悪くも有名人であり、ヴォルデモートを倒した特別な存在だ。
「まだ話したいことがあるんだ、でもそれは明日にしよう」
部屋にあった小さな時計が真夜中の一時をとっくに超えていた。ミラもやっと興奮が少し冷め、疲労を感じ始めた。お休みの声をかけて、ハリーは自室に戻った。ミラも綺麗に整えられたベッドに倒れ込むと、あっという間に睡魔が襲ってきた。
着替えなきゃ、シャワーを浴びなければ、などと思っている間に、ぷっつりと意識は途切れてミラは寝息を立てていた。