第45章 見つけ出した関係
「なろうよ、友達。なって損しないよ」
「お前、自分が問題児なのわかってないだろう。僕には損しかない、馬鹿馬鹿しい」
「引き止めて損をした」と、ドラコはぼやきながらミラに背を向けた。もう医務室の前についたのだから、ここまででいいだろうと、歩き出そうとした時、ミラがドラコの右手を掴んだ。しつこいなと思い、ドラコはその手を振り払おうとして振り返った。
「…そんなに、嫌だった?やっぱり私が『継承者』だったから?」
あまり見ないミラの困り顔に、ドラコは心臓がギュッと鷲掴まれたような気がした。掴んでいる手の拘束は、そんない強くない。振れば振り解けてしまいそうなほどなのに、体全体が麻痺してしまったかのように動かなかった。自分を見つめるアメジストの瞳に、それ以上見てはいけないと、なんとか顔だけは逸らすことに成功した。
「お前は操られてただけで、本当の『継承者』ってわけじゃないだろう----そ、そんなになってほしいなら----なってやらないこともない」
「言い方…でも、それって、いいよって意味で捉えてもいい?」
「----勝手にしろ」
少し無理やりな聞き方だったが、こうでもしないと、ドラコとは一生友達になれないような気がした。
「よろしく、ドラコ」
「…フン、変な事には巻き込むなよ」
(問題の種を撒いてるのは、ドラコの方だろ…やっぱり一発殴ってやろうか)
「なんだ、その目は」
「イヤ、ナニモ…」
さすがに友達になって早々殴るのは良くないと、ミラは怒れる拳を下げた。ドラコが偉そうなのは、今に始まった事ではない。友達になれただけでも、大きな一歩だろうと、ミラは思う事にした。