第45章 見つけ出した関係
もっと色々な魔法を知っていたら、もっと自分が強ければ、ドラコも、ジニーも守れたかもしれない----今となっては過去の話しだが、結局トムに一度も勝てなかったのだ。魔法も智略も、トムの方が格段に上だった。
ミラは歩き出すと、ドラコもその後に続いた。微妙な距離の差が、二人の曖昧で、不安定な関係を示しているようだった。
「----だったら、ダンブルドアは僕にもう百点追加するべきだった」
医務室まであと少しと言うところで、ドラコはやっと口を開いた。ミラは足を止めてドラコに振り返ると、ドラコは偉そう腕を組んで足を止めた。
「今年も忌々しいグリフィンドールの旗を見ることになりそうで嫌になるよ」
「…そこ、気にするところ?」
ミラはおかしそうに笑うと、ドラコは拗ねたような顔をしていたが、機嫌は悪くないように見えた。
「あ、それ」
と、ミラはドラコの手にあるものを見つけた。見覚えのあるそれは、グリフィンドール生だけが持つネクタイで、『秘密の部屋』にいく前に、ミラがドラコの手に巻きつけたものだった。もう手には巻かれてはいなかったが、ネクタイはまだドラコが持っていたことに、少なからずミラは驚いた。
やっとネクタイの存在に気が付いたドラコは、ぶっきらぼうにミラに投げてよこした。
「遺言のつもりだったのか?」
「----半分、そうだったかも」
ミラは戻ってきたネクタイを、懐かしそうに見つめた。----このネクタイをドラコの手に巻いた時、感謝と後悔の気持ちでいっぱいだった。あとから思いだしたとはいえ、ドラコは服従の呪文を二回も解いてくれた。それに、ダンブルドア校長が、ドラコが自分を心配していたと言った時、最初は驚いたが、今なら嬉しいという気持ちが出てきた。
「でも、もう半分は生きて帰って来れたら、ドラコに言いたいこと伝えようって決めてた」
ネクタイから視線をあげ、ドラコを見た。
「な、なんだ…」
一体何を言われるのかと、ドラコは体を強張らせた。