第45章 見つけ出した関係
ダンブルドア校長が、ロックハート先生のことを話すまで、すっかりその存在を忘れていた。記憶をなくす前はどんなに鬱陶しい人物だったか、今はかなり謙虚に見え、部屋の隅で静かに曖昧な微笑みを浮かべて立っていた。ロンは『秘密の部屋』で、ロックハート先生が事故で記憶を無くしてしまったことを話すと、流石のダンブルドア校長も驚いた様子を見せた。
「ロックハート先生も医務室に連れて行ってくれんかね?」
流石に不憫に思ったのか、ダンブルドア校長はロンにロックハート先生を頼んだ。二人が部屋から出ていくと、これまで静かに、しかし居心地悪く椅子に座っていたドラコが咳払いした。
「おお、そうじゃった、そうじゃった」
と、忘れていたのか、それともタイミングを待っていたのか、ダンブルドア校長はやっとドラコの方を見た。
「待たせたね、ミスター・マルフォイ。君にこの話しを聞いててもらいたかったのじゃ。君はミス・グローヴァーとミス・ウィーズリーがいなくなった場所にいたが----なんせその時の記憶がないみたいでの。ミス・グローヴァー、君は何か知っているかね?」
「…はい、校長先生」
ミラはドラコを見ると、困惑しているような顔をしていた。トムがドラコの記憶を抜いてしまったせいで、ドラコは訳もわからないままここにいるのだ。ドラコも、被害者だと言ってもいいだろう。
「ドラ…、ミスター・マルフォイに記憶がないのは、操られた私が消しました。元々私が『継承者』じゃないかと思ってたんだと思います----でも、私の様子がおかしいことに気が付いて、何か変な呪いにかけられているんじゃないかって、呪文解除の魔法をかけてくれました」
ハリーが疑いの眼差しでドラコを向けて見た。ドラコが人を助けたことに、疑念を抱いていた。
「----校長先生、ミスター・マルフォイは私を助けようとしたんです。彼のおかげで、ほんの少し、自分を取り戻せたんです」
「そうじゃったか----ということらしい、ミスター・マルフォイ。君もこの事件に関して尽力してくれていたようだ。----何より、君もミス・グローヴァーを心配しておったみたいじゃからのう」
「え?」
ミラはドラコを見ると、ドラコは何か手に握りしめていたものを後ろに隠してしまった。ダンブルドア校長は微笑ましそうにドラコを見ていた。