第7章 飛行訓練
聴きなれた声に話しかけられ、ミラは本から顔を上げた。そこにはやっぱりハーマイオニーがいて、すでに何冊か手に本を持っていた。
「あなたも、でしょ」
「わたし嬉しいのよ、だってわたしたち以外図書館に来ている1年生って少ないんだもの!」
ハーマイオニーはまるで仲間を得たと言うようにミラを見た。ミラは気まずく目を逸らし本に集中する振りをした。しかし予想外なことに、ハーマイオニーは空いていたミラの隣に座り、本を広げ、羊皮紙と羽ペンまで出した。チラリと彼女の本に目を向けると『クィディッチ今昔』や、クィディッチ関連のあるタイトルばかりだった。
ハーマイオニーという人物は、自分の中でも苦手な部類だとミラは思っていた。初めて会った汽車の中でも偉そうな言い方に、ロンと意見が会うほどいい印象ではなかった。
そして魔法の授業ではいつも1番最初に手をあげる人物でもある。彼女に知らないことはない、というくらい、先生達の質問には必ず答えられるのが彼女だ。魔法薬学以外なら、彼女のグリフィンドールへの貢献は多大で、この間監督生のパーシーが彼女を褒めていたのを見かけたことがあった。
しかしハーマイオニーが他の生徒と一緒にいる姿はあまり見かけたことがない。いたとしてもネビルぐらいで、気が強いせいで他の同級生からは敬遠されている。ミラも女子寮で同室だが、いつもハリーとロン、それに他の男子生徒たちと一緒に談話室でチェスや冗談を言い合ったり、ハーマイオニーと話した記憶はあまりない。わざと話しかけられないようにしていることも原因の一つだが、ミラは彼女のことがあまり好きではなかった。
「本を読んでうまく飛べるなら、誰だってしてると思う…そう思わない?」
ミラがニヤリと笑ってみせると、ハーマイオニーはカッと頬を赤らめてこっちをジロリと睨み上げた。
「何か言いたいことでも?」
「いやいや、あのハーマイオニー・グレンジャーも慎重になるんだなぁって」
「あなたって…意地が悪いわ」
「そう?」
ミラはパタリと自分の読んでいた本を閉じると、本を手に持ち席を立った。
「うまく飛べるといいね」
そう言い残して、ミラは本の続きは夕食の後に読もうと決め、本を借りるため、マダム・ピンスの元へ向かった。