第43章 秘密の部屋へ
「二人とも、ちょっとこれを見て」
と、ハリーがハーマイオニーの右手をじっくり見るようにかがみ込んで、小さな声で言った。二人は慌ててハーマイオニーの右手を見ると、硬く結ばれた右手の拳に、くしゃくしゃになった紙切れを握りしめていた。ミラとロンは、マダム・ポンフリーに見えないように、ハリーが隠れるようにして壁になった。ハリーはその紙切れを取ろうとしたが、がっちりと握りしめていたので、ハリーは紙を破くのではないかとヒヤヒヤした。
なんとかその紙を取ることに成功すると、それは図書館の、とても古い本の一ページがちぎり取られていた。ハリーは、二人に聞こえるだけの音量で読み始めた。
その紙には、怪物『バジリスク』のことが書いてあり、記述の最後に、見覚えのあるハーマイオニーが書いたであろう『パイプ』という文字が残されていた。
「これだ、これが答えだ。『秘密の部屋』の怪物はバジリスク----巨大な毒蛇だ!だから、僕があちこちで聞いたその声を聞いたんだ」
「ハリーがパーセルタングだからか!」
ミラもハッと気が付いた。全ての辻褄が合うことだった。バジリスクの視線は人を即死させることができるが、誰も直接その目を見ていなかったから石化してしまった。ミセス・ノリスは水に写ったバジリスクを見て、コリンはカメラ越しに、ジャスティンは首無しニックを通して、ニックはまともにバジリスクは見たが、2回は死ぬ苦とは出来ない。ハーマイオニーとレイブンクローの監督生は、そばに落ちていた鏡を使っていた。
そして、バジリスクに致命的なものは雄鶏が刻を告げる声----ハグリッドの雄鶏が殺されたと、ハリーが言った時、ミラはある事を思い出していた。上衣に白い羽をいっぱい付けた、様子のおかしいジニーの事を。あの時はフクロウ小屋に行ったのかと思っていたけれど、思い返せば、何故上衣にたくさんの羽をつけていたのか----ミラは何故か嫌な予感がした。
「パイプだ。ロン、奴は配管を使ってたんだ。僕には壁の中からあの声が聞こえてた」
「ハリー、もしもだけど、『秘密の部屋』の入り口は、あのトイレの中だったら?」
ロンの声は掠れていた。
「まさか…『嘆きのマートル』のトイレに」
ミラも信じられないと言った顔で言った。