第41章 深まる影
「でも、早く終わったら二人に間に合うかもしれない。二人も誰もいなくなった頃に行く予定だろ?」
「そうだね…遅くても十二時ごろがタイムリミットだ」
「わかった----でも、もし間に合わなかったら置いてってくれても構わない----けど、十分に気をつけてること----あ、そうだ」
ミラは上衣のポケットから二個のフィリバスター花火を取り出すと、ハリーに手渡した。
「本当はスネイプの授業でやってやろうかと思ったけど、色々あって忘れてた」
「忘れててよかったんじゃないか、逆に」
「いつも持ち歩いてるの、ミラ?」
「いや、今日の朝たまたまフレッドとジョージにあまってるからってくれた」
ハリーとロンは、二人に危ないものをミラに渡してはいけないと、談話室に戻ったときに言おうと決めた。
夕飯がテーブルから消えると、ハッフルパフ、グリフィンドール、レイブンクロー、そしてスリザリンの順番で大広間を出た。ミラは先に寮へ戻るハリーとロンに手を振って別れを告げた。ポツン、とミラ一人だけが取り残されたグリフィンドールの席で、レイブンクローとスリザリンの生徒たちが不審な目を向けた。ようやくスリザリン生が動き出した時、ミラはやっとかと重いため息を吐いた。
早く罰則を終わらせれば、それだけハリーとロンと一緒に蜘蛛の探索ができるのに、スリザリン生が一番最後だと言うこともあり、ミラはすでにイライラが頂点を達しそうだった。スネイプ先生は列の一番前にいた。目が合うと、来るように合図をもらい、ミラは嫌々と席を立ってスネイプ先生の元へ向かった。
スネイプ先生は、一体どんな罰則を受けさせるのだろうと、ミラは暗い地下牢を歩きながら考えていた。きっと意地の悪い、ろくな罰則じゃないことは確かだが、このままスリザリンの談話室まで連れて行くのだろうかと、ミラは顔を歪ませた。
が、それは魔法薬の教室に着いた時、スネイプ先生は歩みを止めた。
「お前をスリザリンの談話室まで連れていくわけにはいかん。ここで待て」
「一人でですか?」
「怖いか?」
「まさか。生徒一人を放っておいていいんですか?襲われて石になってても知りませんよ?」
「心配しなくても、お前は襲われん」
「は?なんで----」