第41章 深まる影
授業が終わると、スプラウト先生が闇の魔術に対する防衛術の授業へと生徒を引率した。ミラたちはみんなから遅れて歩き、話しを聞かれないようにコソコソと話し合った。
「もう一度『透明マント』を使わなくちゃ。ファングを連れて行こう。いつもはグリッドと森に入ってるから、何か役に立つかもしれない」
「ワクワクしてきたな!」
ミラはまた禁じられた森に行くことに興奮した様子だった。反対に、ロンは「いいよ」とは言ったものの、まだ一度も足を踏み入れたことのないロンは落ち着かない様子で、杖を指でくるくる回していた。できればハリーも二度と入りたくないと思っていたが、久しぶりに見た上機嫌な様子のミラを見て、心強いなと思った。
ロックハート先生の授業中に、『禁じられた森』へは今夜行こうと、ハリーの走り書きのメモを見て、ミラとロンは頷いた。ミラはこれで少しでも『継承者』に近付ければ、ハーマイオニーを石にした犯人がわかるかもしれないとワクワクを隠せない様子だったが、それは夕飯の時間にへし折られることとなった。
三人で固まって夕飯を食べていると、水を差すようにスネイプ先生が目の前までやって来たのだ。
「随分ご機嫌な様子で悪いが、グローヴァー、今日言い渡した罰則を今晩言い渡す」
「はぁ?」
ミラは怨みがましくスネイプ先生を睨み上げたが、ご機嫌だったミラの機嫌を損ねることができて、意地の悪い笑みを浮かべた。
「----随分急ですね」
「お前にピッタリの罰則を用意してある。寮に戻らず、私と来るのだ」
「私、スリザリン生じゃないんですけど」
「反論は聞かん」
スネイプ先生は黒い上衣を翻して、先生たちが座っている教職員テーブルに戻って行った。
「わざわざ言いに来なくたっていいじゃん」
ミラは眉間に皺を寄せて、スネイプ先生の後ろ姿を睨み付けた。
「どうしよう、ハリー。ミラが来れなくなったぞ」
と、ロンは狼狽えた声を上げた。
「でも、行かなくちゃ!僕たちだけでなんとかするしかない」
「そうだけど…」
「ごめん、二人とも…チッ、あのクソ野郎、今度保管室荒らしてやる」
ミラから物騒な言葉が出始めると、ハリーとロンは唾を飲み込んだ。