第41章 深まる影
「治るかどうかは、先生次第じゃないですか?」
と、ミラは言った。その瞬間、ピシリと教室の空気が一瞬凍りついた様な気がした。それだけ言うと、ミラは自分が投げて落ちていた鞄を拾い上げに行った。スネイプ先生の口元はピクピクと痙攣しており、今すぐに怒鳴り散らしたい様に見えた。
「先生、次は薬草学の授業なので、早く引率していただけませんか?」
スネイプ先生は怒りを滲ませながら、教室の扉へ向かって行った。ミラはふん、と呆れたようにスネイプ先生を見てから、ハリーたちに振り返った。ハリーの顔はすっかり青ざめており、ディーンとネビルに抑えられていたロンもおとなしくなっていた。
「早く並びたまえ」と、スネイプ先生が生徒の先頭越しに怒鳴った。
列の一番後ろで、ネビルは恐々とミラに小さな声で話しかけた。
「ミラ、スネイプ先生が怖くないの?」
「ぜーんぜん」
ミラはつまらなさそうに答えた。
「それより、見た?顔真っ赤にして怒鳴りそうな顔してたの」
ニヤッとミラはネビルに振り返ると、ネビルは真逆の真っ青な顔で首を振った。
「罰則が怖くて黙ってられないよ」
「だけど、アイツ、今度は退学をチラつかせてくるぜ」
ミラの前を歩いていたロンが、振り返った言った。ロンの横にいたハリーは不安げにミラを見た。
「そうなったら、アイツの部屋と教室にクソ爆弾ばら撒いてやるさ。これでしばらく魔法薬の授業はなくて済む」