第41章 深まる影
カッと頭に血が昇るのがわかったと同時に一歩踏み出すと、すぐ近くにいたハリーがミラの腕を掴んだ。ロンもディーンとネビルに腕を掴まれながら「やらせてくれ」と唸っていた。
ミラは掴まれていなかった手にあった鞄を、ドラコに向けて投げつけた。鞄は勢いよくドラコの方に飛んでいくと、ドラコは慌ててそれを避けた。その後ろに、たまたま通りかかったパンジーに直撃した。
「ミラ、ダメだよ!」
「離せ、ハリー!」
ミラは腕にしがみついているハリーを引き剥がそうともがいた。
「やめんかっ!」と、そこへ怒りを滲ませたスネイプ先生がやってきた。
「呆れたものだ、次は暴力沙汰を起こす気か?」
冷たい声でスネイプ先生はミラとハリーを見下ろして言った。
「先生!私、鞄をぶつけられました!」
と、パンジーが手で顔を覆い、わざとらしい涙声で声を上げた。スリザリンの女子生徒たちはパンジーに集まり、非難の声をミラにぶつけた。しかし、ミラはそんなことなど一切無視してスネイプ先生を睨み続けていた。
「----反省の色すら見せんとはな、これまでの罰則で何も学ばなかったらしい」
スネイプ先生は冷酷な眼差しでミラを睨み付けた。周囲の生徒たちは一言も話さず、しかし興味深くその様子を見ていた。ミラもだいぶ落ち着きを取り戻したが、目の前にいるスネイプ先生を魔法を使って吹き飛ばしたい気持ちを腹の中に押し留めている状態だった。
「ポッター、グローヴァーをすぐに止められなかった、十点減点」
「そんな!」
グリフィンドールの生徒たちが非難の声を上げかけたが、スネイプ先生の冷たい眼差しを向けられると、みんな黙り込んだ。
「グローヴァー、お前には厳格なる罰則を与えねばなるまい。今度こそ、お前の犯行的な態度が改められる様な措置を考えておこう」
クスクスとスリザリン生たちの笑う声が聞こえた。スネイプ先生は冷静かつ厳しい表情でミラを見つめ、ミラは心の中で反抗の炎を燻らせていた。ハリーはこれ以上悪化してはいけないと、ミラの上衣を引っ張った。ミラとスネイプ先生を離そうとしていたが、ミラはまだ一歩も動かず、スネイプ先生をまだ睨み上げていた。