第41章 深まる影
「すいません、材料を入れる順番を間違えたみたいです…」
ハリーは申し訳なさそうな顔でスネイプ先生に呟いた。スネイプ先生は厳しい眼差しでハリーを見下ろした。
「お前の魔法薬の腕前は、改善の跡がまるで見当たらないな。材料を混ぜることさえも難しいのか?まるで初心者だ」
またスリザリン生たちが笑い出し、ハリーは俯いた。
「残念ながら、作り直す材料も時間もない。二度と同じミスは犯すな、羊皮紙十枚、今日の魔法薬の書き取りをしろ。次回、同様の愚かな失敗をしないよう願いたいところだ」
スネイプ先生は悪態を吐きながら前へ歩いて行き、ミラやっとハリーを見ることができた。目が合うと、ハリーは苦笑いを浮かべていた。ミラは声を潜めてハリーに話しかけた。
「ハリー、どうして?」
「あのままじゃ、君、スネイプを怒らせてたよ」
「だからってわざと失敗なんて…」
ミラは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「いいんだ、これくらい安いもんさ」
ハリーは鍋の片付けを済ますと、早速作業に取り掛かった。
「恥ずかしいねぇ、こんな簡単な薬も作れない奴と同じクラスなんて」
後ろから嫌味ったらしいドラコの声が聞こえた。クラッブとゴイルは笑っており、ミラはキッと三人を睨み付けた。
「口には気を付けるんだな、グローヴァー。じゃないと、お前のせいでポッターが落第するかもしれないぞ」
ミラは恨みがましくドラコを睨み付けたが、また言い返すと面倒ごとになると思い、無視することにした。本当はぶっ飛ばしてやりたい気持ちがあったが、これ以上ハリーに迷惑をかけてはいけない気持ちが働いた。
しばらくして、授業終了の鐘が鳴った。みんなは大急ぎで片付けを始め、できた魔法薬もスネイプ先生の机に提出して次の授業へ向かう準備を始めた。本や羽根ペンをカバンに詰め、すでに準備ができているハリーとロンの三人で集まった。
他のみんなもあともう少しで片付けが終わるのを見届けていると、ドラコはまだ後ろで話していた。
「『汚れた血』の連中がまだ荷物をまとめていないのにはまったく驚くねぇ----次は死ぬ。金貨で五ガリオンかけてもいい----誰かがグレンジャーを守り損ねて石になったのが残念だ」