第40章 暗転
ミラはハッと意識が戻った。心臓が嫌な音を立ててバクバクしていた。辺りを見回すと、自分は廊下にいることがわかった。それも廊下の端っこの、目立たないところで。変だなと思いながら、ミラは体を起こした。
「っ…あれ?」
体はふらつき、すぐに壁に手をついて体を支えた。一体どうして自分はここにいるか、体がだるいのか、何もかもがわからなかった。とにかく、いつまでもここにいても何も始まらないとミラは歩き始めた。
窓から見える空は明るく、しかしお昼にはまだまま日が低いことで、今はまだ朝だと言う事に気が付いた。
「そうだ…図書室に向かってて---ハーマイオニー!」
突然全てを思い出したミラは、ふらつく体に鞭を打って図書室へ急いだ。一体いつから自分はあそこで寝こけていたのだろう----疑問が残るものの、まずはハーマイオニーの安全が大事だと急いだ。
もうすぐ図書室だと最後の角を曲がった時、図書室の前で誰かが倒れているのが見えた。心臓がまた嫌な音を立てて鳴り出した。ミラは堪らず駆け出した。ふらついて転けたが、すぐに起き上がってがむしゃらに走った。
(違う。違う。違う。違う!ハーマイオニーじゃない!!)
そう願ったのに、倒れていたのはハーマイオニーと、もう一人女子生徒がいた。
「うそだ…うそだ、ハーマイオニー、こんな…」
ミラはハーマイオニーの前に力なく崩れるように座り込み、石になってしまったハーマイオニーの手に触れた。その手は冷たく、本当に石のようで、見開いた目がガラス玉のようだった。
ミラの絶叫が廊下に響き渡った。