第6章 魔法の授業
煙の元を辿っていくと、ネビルの腕や足には真っ赤なおできが容赦無く吹き出し、痛くて呻き声をあげていた。
「バカ者!」
すぐ近くにいたスネイプ先生が怒鳴りながら大股でネビルとシューマスのペアに飛び出していった。先生は杖を一振りすると、溢れた薬が綺麗になくなった。おできが鼻にまで広がる頃には、ネビルはシクシクと泣いていた。流石のスネイプ先生も不憫に思ったのか、それとも見ていられなくて言ったのか、ネビルはシューマスと医務室へ行くよう指示した。
それから何故かハリーがネビルの隣で作業をしていたことから、理不尽な理由でまた一点、グリフィンドールから減点された。
「君がどうして僕のところに来たかわかったよ」
ドラコに声をかけられるまで、ミラはスネイプの一連の行動に目が離せずにいた。ドラコはすでに違う作業を行っていたし、周りにいたスリザリン生たちも、いつの間にか自分たちの作業の続きに戻っていた。
「あんな落ちこぼれと組んだ日には減点どころじゃ済まないからだろ」
さっきのことを思い出しているのか、ドラコはせせら笑っていた。しかし手元の作業は丁寧にこなしている。ミラも残りの作業に戻りながら、気になることを質問してみた。
「どうしてスネイプ先生ってあんなにハリーのこと嫌ってるの?何か知ってる?」
「知らないな。よっぽどポッターの顔が気に入らないんじゃないか?」
投げやりにドラコは言った。それにしてはあまりにも理不尽なスネイプ先生のハリーへの態度や言動が、少し異常だと思わせた。
それから二人は薬が出来上がるまで、必要以上のことは話さなかった。ミラはドラコの言われた通りに作業をしたし、ドラコも注意しながら大鍋をかき混ぜた。
・・・・・
それから1時間後、ミラとドラコの作ったおでき薬を提出すると、スネイプ先生はドラコの方を見て「よく出来ている」と褒めたたえた。特にそんなことに憤慨することもなく、ミラはさっさと荷物をまとめた。
「じゃあね、ドラコ。今日はありがとう」
「あぁ」
ミラはすでに教室を出て行ったハリーとロンの元へ駆け出していった。ハリーの背中を見つけると、すっかり肩を落とした様子がうかがえた。ロンがハリーを励ましている声が聞こえ、ミラもハリーの横にスルリと並んだ。