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【HP】怪鳥の子

第6章 魔法の授業


 ドラコの心配は杞憂に終わった。乾燥イラクサを計ったり、蛇の牙を砕く作業や、他の材料を刻んだり、ミラの手際の良さには少し驚かされた。自分が指示する通りに彼女はやるし、分からなければちゃんと質問もしてくる。

「そっちのツノナメクジはどう?」

 ミラは鍋をかき混ぜるドラコの隣に立って、鍋を覗き込んだ。とてもじゃないが、鍋の中は食事をそそる光景ではなかった。

「もうすぐで茹で上がる。正直君がここまでできるなんて思ってなかった」
「お褒めに預かり光栄だね」

 ミラはわざとらしく言った。ドラコは鍋から目を逸らさず、ミラの言ったことなど気にしていない様子だった。ツノナメクジを真剣に茹でているドラコはどこか滑稽に見えたが、彼の教科書が目に入ると、予習をしてきた跡が見られ、意外に真面目なんだと気が付いた。
 辺りを見回すと、スネイプ先生はほとんどの生徒たちに注意をしていた。先生が何回か自分たちの組みを見に来たが、一回も注意された記憶はなかったことから、どうやらドラコはスネイプ先生のお気に入りらしい。ドラコと組んで正解だったとミラは細く笑んだ。

「よし、できたぞ」

 ツノナメクジはあっという間に茹で上がり、ドラコはそれをかき混ぜていた大きなスプーンで掬い上げた。ミラは用意してあったお皿をドラコの元へ差し出した。やっぱりお皿の上に乗っているツノナメクジは、どう見ても美味しそうには見えなかった。
 すると、「ほぉ」と低い感嘆の声が背後から聞こえ、ミラとドラコはビックリして後ろを振り返ると、そこにはスネイプ先生がいつの間にかいた。

「ミスター・マルフォイが完璧にツノナメクジを茹でた。皆んな見るように」

 スネイプ先生がそういうと、周りにいたスリザリンの生徒たちがお皿の上に乗っているツノナメクジを見に群がってきた。ドラコも得意げにそれを見せていて、いつも青白いと思っていた顔も、頬にうっすらとピンク色に染まっていた。ふふん、とふんぞりかえったドラコがこちらを見た。

「やるじゃん」

 ミラも周りのスリザリン生の様にドラコを褒めると、ますます機嫌が良くなった。すると、地下牢いっぱいに強烈な緑色の煙が上がり、シューシューという大きな音が広がった。
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