第39章 明転
教室から出たドラコは、逃げるように一直線にスリザリンの談話室に向かった。途中誰かと肩がぶつかろうが、そんなことはお構いなしで走った。談話室に着いて、自分の部屋に向かう途中でクラッブとゴイルに声をかけられたが、無視して部屋に逃げ込んだ。
そして部屋に着き、ドアを閉めたところでようやくドラコは大きく息を吸い込めたような気がした。
『早く行って』
凍えるような、突き放すようなミラの言い方に、むしゃくしゃするような怒りが込み上げてきた。それでも、何かの呪いにかかっているミラに、どうしてやることもできない。本人は呪われていること自体分かっていなさそうだった。先生にどう説明していいのかもわからない。
関わっていたら、同じ呪いにかかっていたかもしれない----これ以上関わってはいけないと、頭は分かっていた。
『もう私と関わらない方がいい』
そうミラに言われた時に感じた、何十、何百、何千もの開いた距離感に、ドラコは頭を振って追い払おうとした。関わらない方がいい、そう分かっているはずなのに、さっきから心臓のあたりがゾワゾワして、イライラしてくるのだった。
表情は見えなくても、自分に向けていたミラの背中が----どこか寂しそうにも見えた。
ドラコは自分のベッドの横にある椅子にかけてあった、学用品が詰まったカバンを乱暴に取り上げると、部屋にあった机に向かった。乱暴に鞄を机に置くと、カバンから紙とインク、そして羽ぺんを取り出した。
椅子に座り、羽ペンにインクを浸し、紙に文字を綴った。