第39章 明転
「いきなり呼び出したんだ、ちゃんと持ってきたんだろうな」
誰も来ない教室にミラが一人で待っていると、ドラコがやってきた。無事集合のサインを見かけて来てくれたことに、ミラはホッとした。
「その事で聞きたいことがある…」
「聞きたいこと?」
ドラコは珍しく真剣な顔をしているミラに、緊張を覚えた。
「医務室で会話したこと…何を話した?」
「はぁ?頭がおかしくなったのか、お前」
呆れた視線をよこしたドラコは、次第にイライラして声を荒げた。
「わざわざ呼び出したくせに、お前の記憶について答えろって言うのか?」
「だから、この間何を話した?何を持って来いって言ってるんだ!」
「意味が分からないことを言うな!」
「----ないんだ」
ミラは頭を抱えて、ドラコを見つめた。ドラコは冷たくミラを見たが、ミラの目は冗談を言っている様子はなかった。
「思い出せないんだ…この間のこと……ドラコが来たのは、覚えてる…でも話の内容が…」
「ふざけてるのか…日記だ。ポッターがトイレで拾ったってお前が言ったんだぞ」
「日記----そうだっけ?----日記---あれは、リドルの日記で----五十年前ので----誰かが、捨てないと…ううっ!」
突然頭にズキンと痛みが走り、あまりの痛さにミラは頭を抱えて膝をついた。
「お、おい…!どうした…!」
「いっ……っ!」
ドラコはミラから後ずさった。突然頭を押さえて床の上で痛みを耐えているミラを、得体の知れないものを見るような恐怖の目で見ていた。
「また、…?」