第39章 明転
「ハリー、気を付けないとマルフォイにミラを取られるぞ」
「そうだそうだ。ミラも女の子なんだ、あっという間に成長するぞ」
「あなた達、何目線でミラのことを見ているの?」
双子は腕を組んでうんうんと頷き合っていると、ハーマイオニーが呆れたように言った。
しかし、ハリーは心配そうにミラを見た。ブラッジャーのこと、『継承者』ではないとドラコを庇っているようなミラを思い出して不安を感じた。ドラコはミラのことをどこかの純潔の家系の隠し子ではないかと、ただそれだけしか興味がないと思っていた。
ハリーはドラコがミラの視界に入らないように、目の前に座った。
「ハリー!朝練終わったんだ」
パッとミラは険しい顔から笑顔でハリーに話しかけた。ハリーは後ろを振り返ってドラコを威嚇するように睨み付けると、ドラコは驚いた様子ですぐに目を逸らした。
「ミラ、マルフォイに何かされたの?」
「いや…何もされてないけど」
この間ストーカーされて夜這いまがいされた----と、言うこともできたが、ドラコのプライドが色々へし折れるだろうと思い、ミラは言わなかった。そもそも、何故ドラコはわざわざ自分の元へ来たんだろうと、ミラは不思議に思った。
(あれ…ドラコと何を喋ったんだっけ…何を持って来いって要求されてた?)
「ミラ?」
ハリーに声をかけられて、ミラはハッとした。
「大丈夫?やっぱりマルフォイに何かされたんじゃ…」
「ううん、何もされてないよ。それより、ハリーも早く朝食食べた方がいい。授業に遅れるよ」
「…わかった…でも、何かあったら言って」
「うん」
ハリーははにかみ、朝食に手をつけた。ミラも自分の取り皿に取った残りのパンケーキの続きを食べ始めた。