第39章 明転
ミラは即答でキッパリと断った。何を言っているんだと、ミラは呆れたように大きなため息をついた。
「もう寝るから早く帰ったら。一応、私病人なんだけど」
また薬の成分のせいか、眠気がミラを襲った。今度こそ強い眠気に、ミラは手で顔を抑えた。起きているのが辛い様子のミラに、ドラコも流石に質問する気は無くなった。
「…さっさと直して日記を持って来い」
「だから、それは無理だって…」
ドラコはそっとカーテンを開けて、マダム・ポンフリーがいないことを確認してから出て行った。ミラもようやく体から力を抜くことができ、重たい頭を枕に埋めた。目を閉じれば、あっという間に意識が遠のき、ミラは眠りについた。
それからというもの、ドラコは日記を諦める気配はなかった。魔法薬の授業では、必ず隣にやって来て、「持って来い」としつこく聞かれるようになった。昼食の時間も、学校のフクロウを使って『持って来い』と一言だけ書かれた紙切れを送り、廊下ですれ違いざまに目が合えば「持って来い」と訴えかけてくる。
ミラも静かにドラコを睨み返し、絶対に日記を持っていかないと目で訴えた。
「なーに朝からあの二人は見つめあってるんだい?」
「お熱いねぇ」
流石に目立つようになり、クィディッチの朝練から帰ってきた双子のフレットジョージがからかい出した。
「冗談はよしてくれよ」
と、ロンは吐きそうな顔で言った。