第38章 日記の行方
突然、猛烈な吐き気を覚えた。ミラは慌てて口に手を当てて耐えた。頭はキーンと耳鳴りが鳴り響き、まるでこれ以上何かを思い出させないようにしているようだった。
「ミラ!」
ジニーは慌ててベットから降りてミラに駆け寄った。
「大丈夫…ジニー……ちょっと考えすぎたみたい」
泣きそうなジニーに心配をかけまいと、ミラは精一杯笑ってみせた。
「絶対なんとかする。だからジニーも気を付けて」
「…う、うん」
ミラはジニーの頭を撫でると、ハリーのいる男子部屋に向かわなくてはと女子部屋を出た。パタン、とドアが閉まると、視界が一瞬ぼやけて体がふらついた。慌てて壁に手をついた。
「----あれ、何しにここへ…?」
ミラはどうしてジニーのいる女子部屋の前に立っているのか考えたが、全く答えが出てこなかった。----何か大切なことがあったような----思い出せもしないのに? ミラはおかしいなと思いながら談話室へ降りていくと、ミラを見つけた双子が「♪あなたの目は紫色、マンドレイクの花のよう」とまた歌い出した。
「フレッド!ジョージ!」
ミラは残りの階段三段を一気に飛び降りると、双子の元へ走り出した。もう何を思い出そうとしたのかも、どうでもよくなっていた。