第38章 日記の行方
ドラコは自分の話を嬉しそうに聞いているミラに薄々と違和感を感じていた。しかも今日は首に蛇を巻いて来ていた。可愛がられているのか、蛇の体はミラの上衣の下にほとんど隠れているが、顔だけは出して時々チロチロと舌を覗かせている。
ドラコにはますますミラがグリフィンドールの寮生かどうか、疑わしく思えた。蛇のシンボルはスリザリンだと言うのに----。
この間は寝不足で隈が酷く、碌に話も聞いていなかったのに、今はどうだろうか。寝不足じゃないせいか、酷かった隈も今は見えない。自分の発している事に笑顔で頷いて聞いてくれている----やる気がないよりも、全然いいのだが。
そもそも、この純血についての話しをいつまで続ければいいのだろうか?自分の持てる純血のことは全て話した。ドラコは、ミラが純血一族のことを理解したいと言ったから教えた。全てを話した今、彼女は何を考えているのだろうと疑問が浮かんだ。
「----もう話すことは何もない。最近、クラッブとゴイルにどこに行くんだと聞かれることが多くなった。もう潮時だろう」
「ありがとう、ドラコ。わざわざ付き合ってくれて」
「…それで、ここまで話してやったんだ。何か思うところくらいあるだろう」
短い時間とはいえ、自分の時間を割いてまで教えてきた。もしこれが他の寮生に見られれば、お互い変な噂が飛び交うことは間違いなく、下手をすれば裏切り者扱いもされかねない。最悪の場合、このことが父親にバレたとなれば、お小言をもらうどころではないのだ。
ミラもバレれば、裏切り者扱いされることは分かっているだろうし、何よりハリーやロン、ハーマイオニーとの仲に亀裂が入ることも覚悟の上だ----と、ドラコは考えていた。
それを分かっていて引き受けた----半分乗せられたことは癪なので伏せておくが。
それでもドラコは気になった。『汚れた血』や『マグル』を差別している純血の自分に、ミラは今何を考えているのか。それに、一度ハーマイオニーに向かって『汚れた血』と罵った手前、ミラが何を思っているか、ドラコには分かりかねた。