第36章 這い寄る闇
ハリーとロンがドラコから入手した『秘密の部屋』の情報で、ミラは一つ気になることがあった。前回『秘密の部屋』が開かれた時は五十年前であり、ミラはトムの日記もちょうど五十年前だったことを思い出した。
女子学生が一人亡くなっているくらいの事件でもあり、当時トムが普通のが生徒だったとしても、知らないわけがない。もしかすると、何か知っているかもしれないとミラは思った。
確証はなかったが、もし何か知っていればハリーたちともっと情報が共有できる。ジニーには申し訳ないが、日記の存在をハリーたちに明かさなければいけない。
ドラコから情報を聞き出したその日の夜中、ミラは疲れを感じながらも、自分以外いない女子部屋にあるテーブルに蝋燭を一つ用意し、日記を開いて羽ペンにインクを浸した。いつも肩に乗っている蛇は既にベッドの中に潜り込んで眠っている。
『こんばんは、トム。今夜はあなたに聞きたいことがある』
五十年前に起きた『秘密の部屋』の事件で、もしかすると一気に確信に近付けるかもしれないと心が震えた。しかし、トムはこの日記を読んで欲しくない人たちから守る為に、何かしらの魔法を使って日記を読ませないようにさせた。
知っていたとしても答えてくれないか、もしかすると『秘密の部屋』には関係のない人物かもしれない。だが、当時の様子なら知っているはずだ。些細なことでもいいから、ミラは情報が欲しかった。
『こんばんは、ミラ。僕に答えられる範囲であれば』
『『秘密の部屋』について何か知ってる?』
ミラは単刀直入にトムに尋ねた。
『もしかしたら、もうジニーが『秘密の部屋』のことを、あなたに話してるかもしれない。その『秘密の部屋』が五十年前にも開かれたって聞いたんだけど、ちょうどこの日記も五十年前。当時、何があったか話してもらうことはできる?』
『いいえ、話すことはできない。この事件に関して、みんなが沈黙するよう、当時の校長先生と約束している』
『でも、このままじゃ----私の友達が狙われるのも時間の問題だ』
コリンやジャスティン、これからいくら他のマグル生まれの生徒が襲われようが、どうでもよかった。でも、親友のハーマイオニーだけは違う。
もし、ハーマイオニーに何かあれば---。