第35章 クリスマスとポリジュース薬
ハーマイオニーは二人にスリザリンの上着を渡した。洗濯置き場から着替えようの上着をこっそり調達していたのだ。三つのタンブラーグラスにどろりとした薬をたっぷり入れ、三人は震える手で手に入れたそれぞれの髪の毛を自分のグラスに入れた。
ミリセントのは、気分が悪くなるような黄色へ。ハリーのゴイルの毛は鼻くそのようなカーキ色、ロンのクラッブのものは濁った暗褐色になった。
「おえ----クラッブのエキスだ」
と、ロンが嫌悪の目つきで言った。
「ミラが帰ってきたら飲むわよ」
「そうだね。あ、その前にここで三人一緒に飲むのはやめたほうがいい。クラッブもゴイルに変身したら、この小部屋に収まりきらないよ。それに、ミリセント・ブルストロードだって、とても小柄とは言えないし」
三人は自分のグラスを手に持ち、別々の小部屋の前に立ってミラを待った。しばらくすると、息を弾ませたミラが戻ってきた。手にはしっかりと透明マントが握られ、ワクワクした様子で三人を見たが、手に持っている色違いのポリジュース薬を見て、顔を引き攣らせた。
「みんな----素敵な飲み物だ----」
ミラはもし自分がパーキンソンの髪の毛を入れたポリジュース薬は、何色になったのだろうかと思った。すでに死んだ魚のような目をしているロンからは哀愁さえ感じられた。
「いいかい?」
ハリーの呼びかけで、三人は小部屋に入った。ハリーの合図で、三人はポリジュース薬を飲んだ。ミラはどうなるのだろうかと思っていると、三つの小部屋からガタガタと三人の苦しむような声ともがいているような音が聞こえ、ミラは心配でヒヤヒヤした。
しかし、それは長くは続かなかった。突然誰もうめいたり、もがく様な音がなくなったからだ。
「----三人とも、大丈夫?」
ミラは心配で声を掛けると、真ん中の個室に入ったハリー----ではなく、ゴイルが出てきた。その隣からはクラッブが出てきて、ミラはどんな顔をすればいいかわからなかった。二人は本当にクラッブとゴイルそのものだったからだ。
「ああ、大丈夫だよ」
声もゴイルの低いしゃがれ声に変わっており、ポリジュース薬が成功したんだと分かった。ハリーとロンはお互いをジロジロと観察していた。