第35章 クリスマスとポリジュース薬
ミラもこうしてはいられないと、大広間を見渡した。
「あ、れ…?」
スリザリン生のテーブルを見ると、クラッブとゴイルがまだデザートをがっついて食べており、他のスリザリン生が見当たらなかった。パーティに残っている生徒もまばらで、ミラは顔を青ざめさせた。
「もしかして…もしかしてさぁ…」
・・・・・
「仕方ないわ、クラッブとゴイルならまだしも、今から他のスリザリン生から一部分を取るなんて、かなり難しいわ」
トイレで落ち込んでいるミラを、ハーマイオニーは慰めていた。ハリーとロンはしっかりとクラッブとゴイルの髪の毛を二、三本取ってきており、ミラは恨みがましく二人を見た。
「クラッブでもゴイルでもいいから…行きたい…」
「じゃ、じゃあミラは僕の透明マントで来たら?僕たちの後ろからついて来ればいいんじゃないかな」
「ナイス、ハリー!」
ミラは落ち込んでいた顔から、花が咲いたのごとく笑顔になった。
「そうだよ!なんでその事が思いつかなかったんだ----私、急いで取ってくる!トランクの中だよね、ハリー」
「あ、うん」
「君といい、ハーマイオニーといい、そんなホイホイ男子部屋に入らないでくれよ…」
ロンのぼやきが聞こえる前に、ミラはあっという間にトイレから出ていってしまった。ハーマイオニーはミラが帰ってくる前に、ポリジュース薬の準備を始めた。大鍋からは黒い煙が立ち上っており、どろりと糖蜜のようになった煎じ薬が泡立っていた。